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大きな背中に、愛を告ぐ。 ページ47

「んん…、」

「…起きた?」


何度か瞬きを繰り返すと、だんだんクリアになる視界。
一番に飛び込んできたのは、愛しそうに俺を見つめるAだった。

ろくに眠れていなかった俺は、Aの腕の中でぐっすりと眠ってしまった。
一体どれくらい寝たんだろう…。


Aが抱き締めたまま身体を起こしてくれる。
今朝は鉛のように重かった身体が、びっくりするほど軽くなっている。

でも、まだ。


「A…、」

「ん?具合悪い?」


心配そうに顔を覗き込むAの首元に腕を回してきつく抱き付く。
Aもしっかりと受け止めながら、優しく背中を撫でてくれた。


「A、……好きだよ、」


俺の言葉に幸せそうに微笑んだAは、触れるだけのキスをして。


「俺も好きだよ、翔平のことが。」



水が飲みたいとわがままを言う俺に、Aはベッドから降りて冷蔵庫へ向かって行く。

その背中をぼんやりと眺める。


10年前は呼び止めることすらできずに、ただただ心の奥底に気持ちを押し込んで。

大きな背中に手を振った。


でも、今は。



「…A。」

「ん?」

「背中向けないで。」

「ふは、ごめんって。」



その背中に、ありったけの想いをぶつける。
あのときの俺の気持ちも乗せて。



「A、愛してるよ。」




FIN.

あとがき→←君が縋るから。



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作者名:咲笑 | 作成日時:2024年2月26日 16時

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