検索窓
今日:55 hit、昨日:9 hit、合計:75,228 hit

この腕が、好きすぎて。 ページ44

ぐらぐらと揺れる視界に突然映り込んできたAの顔。
今までで一番切羽詰まったような、深刻そうな表情で俺を見つめている。


Aは俺の身体を抱き寄せるようにすると、きつくきつく抱き締めてくれた。


拒むことなんてできない。
離れなきゃって分かっているはずなのに、この腕が好きすぎる。


「A……、」

「翔平、部屋に戻ろう。」


聞きたいことは沢山あった。

なんでここに居るの?
しばらくはロスで仕事すると言っていたのに。
ここに戻ってきて大丈夫なの?

平野は、放っておいていいの?



Aはその場で一平さんたちに連絡を取ってくれて、このまま部屋に帰ることになった。
俺の立ち眩みはだいぶよくなってきたのは、Aが居てくれるから?

Aは自分が着ていたジャージを俺の肩にかけると、腰に腕を回して身体を支えてくれた。
ゆっくりと立ち上がると再び抱き締められる。


「施設の外には結構メディアが居るから、そこを抜けるときだけは頑張って。」


耳元で優しく紡がれる言葉に素直に頷くと、俺はAと一緒にゲートへと向かった。


「ショーヘイ、今日はもう終わりか?」

「どこか調子が悪いのか?」


ゲートから出るときはAの言うとおり複数のメディアが居て、予定よりかなり早く切り上げる俺に矢継ぎ早に質問が飛ぶ。

光るフラッシュに目が眩んで、思わず手で目元を隠すとさらにそれを撮ろうとカメラを向けられて内心焦る。


「“ごめんね、ちょっと急いでるんだ。”」


Aは俺の肩を抱き寄せるようにして足早にそこから離れる。
小さな声で「ごめん」と言うと、優しく頭を撫でられた。


.

やっとちゃんと、息をする。→←俺を呼ぶ声。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
364人がお気に入り
設定タグ:大谷翔平 , プロ野球 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:咲笑 | 作成日時:2024年2月26日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。