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もう、別れよう。 ページ41

気が付いたら俺は寝てしまっていて、時間を確認しようとスマホを手繰り寄せる。


「え…、」


Aからの不在着信が4件。
メッセージも届いていた。


ーー 翔平、ちゃんと話したい。

ーー 翔平を裏切るようなことはしてないから。


眠気なんて一気に飛んでいって、あっという間に見つめる画面がぐらぐらと揺れる。

裏切るようなことはしてない?
平野のこと抱いたくせに。
俺より平野のほうがよかったってことだろ?


スマホを投げ捨てて、布団に包まったけど。



ちょっとだけ、信じたかった。
Aのこと、やっぱり好きだから。


俺はスマホを再び手に取ると、Aへ電話をかけた。



「…もしもし、翔平?」


少し慌てた様子のA。
電話をかける前に時間を確認したら、午前2時30分。
Aは起きていたんだろうか。


繋がったはいいものの何を言っていいのか分からずに、沈黙の時間が流れる。
どれくらい経ったんだろうか。
Aがゆっくりと口を開いた。


「翔平、愛してるよ。」

「……何言ってんの、思ってもないこと、」

「平野とは、何もなかったから。」

「嘘つき!」


俺の中で何かがプチンと切れた。
夜中なのに、俺は声を張り上げてAを責めた。


「平野としたんでしょ?何もなかったなんて信じられるわけないじゃん!」

「でも本当に何もないから。」

「ベッドの中で電話取ったくせに?」

「ベッド?」

「平野のこと抱いたあとだったんでしょ?」

「……は?」


自分が発する言葉で、自分が傷付いていく。
心にグサグサと刺さって、ボロボロになっていく。

呼吸が苦しくなった俺は、胸元を掴むように触れながら身体を丸めた。


「もう、別れよう。平野に返すよ…、」


.

どんなときも、思い浮かべるのは。→←電話の向こうに居たのは、



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作者名:咲笑 | 作成日時:2024年2月26日 16時

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