大きな背中に手を振る。［shohei.O］ (ページ34)

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君が怒った理由。ページ34

あのあと結局あれこれ頼んで、テイクアウトのコーヒーを片手に店を出て。
夜ならまだしも、まだまだ人が多い時間帯だからと戻ることにした。

駐車場に停められたAの車に乗り込むと、ふたりきりの空間にやっと身体の力が抜けた気がする。

「せっかくのオフなのに疲れさせちゃったな。」

運転席に座ったAは心配そうに俺を見つめながら手を伸ばして優しく頭を撫でてくれた。

「ふふ、疲れてはないけど。」

「けど？」

「一瞬、ふたりがまた付き合っちゃったりするのかなとか思った。」

「は？」

「ふたりが話してるところ見てて、お似合いだったんだなーって。」

「…翔平くん？」

慣れない呼び方をするAに視線を向けると、脇腹をつつかれた。

「ちょ…っ、やめて。」

「何がお似合いだ。お前はほんっとに。」

Aは運転席から身を乗り出して、俺の背中に手を回す。

「許せなかったんだよ。なに俺の大切な人無視してんだよって。」

Aの腕の中で少し高めの体温を感じながら目を閉じる。
そうすると、心にダイレクトにAの声が届く気がして。

「お前の顔見たら、我慢できなくなった。」

「俺、どんな顔してたの？」

「ふふ。めちゃくちゃ泣きそうな顔してたよ。」

「えっ！？」

思わず顔を上げると、想像以上に近いAの視線とぶつかる。
引き寄せられるように、そのままキスをして。

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