そのあとにやってくる嫉妬。 ページ18
「そう。だから俺のファーストキスの相手は翔平。」
そうだったんだ…。
お互いにファーストキスの相手は…。
「ふふふ。」
「翔平が笑いだした。」
「だってさ。…へへ。」
「なんだよ。」
平野のことは全然気にならない。
ここは調子に乗って聞いちゃおう。
「じゃあそれ以上のことは?」
「ん?」
「キスの次。…平野とは、した?」
……やっぱり俺はめんどくさい。
そして今度こそ、聞かなきゃよかった。
「あー…、まぁ。」
前言撤回。
平野のこと、全然気になる。
「あはは、そうだよね…。」
完全に空元気な俺の頭を優しく撫でると、肩にこてんと顎を乗せるA。
肩に感じる、愛しい重み。
「…お前、キス以上のことしたいと思う?」
言っとくけど、俺は可愛がりたいタイプだからね?
Aのにやりとした表情に、沸々と沸き上がっていた嫉妬心はあっという間に消え去った。
「えっ、え…、」
「本当にしたいんだったら、俺んち泊まるか?」
「ちょっ…、A、」
俺の肩に顎を乗せたまま、囁くように言葉を紡ぐと。
「んん…っ、」
耳元に唇を寄せて、軽い音を響かせながらキスをした。
それが擽ったいのと、俺の知らない世界に足を踏み入れようとしている感覚がほんのちょっとだけ怖くて。
きつく目を閉じると、Aはぱっと身体を離して笑った。
「ふは、冗談だよ。そろそろ帰るぞ。」
耳元に残るAの唇の感覚。
そこが熱を持って、じんわりと疼いて仕方ない。
今まで知らなかった世界。
冒険心と好奇心の塊である俺は、少しだけ足を踏み入れたくなった。
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作者名:咲笑 | 作成日時:2024年2月26日 16時