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一番近くで。 ページ13

俺の問いかけに、今度はAが視線を外した。

ほんの少しだけ、期待してる。
Aと再会したことで、この気持ちをこれ以上心の奥底に押し込めることはできなかった。
Aが同じ気持ちだったら、俺はどんなに幸せだろう。


俺の頭を撫でていた手が離れる。
そのことすら寂しさを感じていると。


その手はするりと俺の頬へと滑った。
まるで壊れ物を扱うかのように優しく包み込むと、穏やかな瞳が俺を捉えて。
俺もその瞳から目を逸らすことはできなかった。


「本当だよ。またお前の近くに居られるかなって下心があった。」

「下心って…。」

「はは、なんか言い方悪いな。」


親指で何度か俺の頬を撫でたり、柔らかく摘むように触れたりしながらもAの瞳は俺を見つめたまま。


「やっぱり忘れられなくてさ。お前のことが。」


ーーー 無我夢中で野球に打ち込むお前の姿を、この先ずっと見ていたいと思った。

途中で抜けた俺だけど、できることならお前がユニフォームを脱ぐその日まで、近くでその姿を見ていたい。

翔平は日本では物足りないんだろうなって勝手に思っててさ、憧れでもあるアメリカで、きっと日本中が、…いや、世界中が驚くようなことをしてくれる。

そんな姿を見てみたいって思った。



Aの言葉は、俺の頬を熱くさせるのに十分過ぎた。


「あれ、お前熱ある?」


頬を撫でていたAの手は、額へと伸びる。

熱なんてないよ。
Aの言葉が嬉しくて、擽ったくて。


……やっぱり好きだなって改めて実感したから。


.

短い告白の答えは、→←それ以上に、勝ちたかった。



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作者名:咲笑 | 作成日時:2024年2月26日 16時

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