122 < Side O > ページ24
そう思っていると、櫻井翔が飲みかけの酒を持ってこちらにズカズカと歩いて来た。
何をする気だと思ったのも束の間、櫻井翔はテーブルにガンッとタンブラーを置き、男を睨み付けた。
「ソイツ、俺のツレなんだけど」
男に向かってそう宣言し、今度は俺に小言を言う。
「お前、おっせえよ。
俺、ずっと待ってたんだけど！」
ネクタイを緩め、ワイシャツの袖は無造作に捲っている。
髪は雨に濡れたせいで少し乱れていた。
そんな少々くたびれた風貌にも関わらず、初めて間近で見た櫻井翔に俺は目を奪われる。
その正義感の塊が、まるでスーパーヒーローのように見えて。
そうか。
この人、俺に助け舟を出してくれたんだ・・・。
「アンタさあ、もうちょっと気を付けないと。じゃないと食われるよ？」
「え？」
気付けば、あのガタイのいい男は退散していて、櫻井翔は俺の目の前に座っていた。
「さっきの男。
どっちもイケる質だからさ」
「どっちもって」
「食うほうも食われるほうも、どっちもってこと」
「えっ・・・」
それから櫻井翔はこういう場に来るならもっと気を付けろと俺に忠告し、向こうで一緒に飲むか？と誘ってくれた。
助けてくれた上に、フォローまでしてくれて・・・。
初対面の俺にどうしてこんなに優しくしてくれるんだろう。
でも俺は首を横に振った。
「今日はもう帰ります。
やっぱりまだ緊張してるので」
なぜなら今日は余計な会話は不要。
こういう場に慣れてない男が質の悪い男に絡まれている現場に遭遇したってだけで十分だからだ。
頭ではそう理解しているのに、なぜか後ろ髪を引かれるような思いに駆られる。
「ふーん・・・」
櫻井翔に特に気に留める様子はない。
「本当にありがとうございました」
そして俺はペコッと頭を下げて席を立ち、店を出た。
バーの先で待っててくれた車に乗り込むと、まーくんがすぐさま「どうだった？」と聞いてきた。
だから俺はこう答えた。
「いい人だったよ、すごく・・・」
続く (更新停止中)
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きよ(プロフ) - なつさんお疲れさまです。智くんと翔くんの生い立ちもですが、こんな用意周到に計画を立て実行する智くんに驚きです。でもやっぱり翔くんと出会ったら変わりますよねぇ。ましてやヒーローですもんね。智くんの心の変化を楽しみに待っています。 (2021年10月3日 8時) (
レス) @page24 id: 6c6ffed641 (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - なつさんこんにちは！お言葉に甘えて早速きました！更新ありがとうございます！今回の智くんになんだかすごく安心しました^ ^計算だけでなくこれからは本当に翔くんと友達になりたくなるのかなって。この翔くんの登場には誰だってドキドキしますよねー‼︎^ ^ (2021年9月27日 14時) (レス) @page24 id: 4b882d58ca (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - はるさん» はるさん、こんばんは！切れ者の智くんですがこれから計画を実行することになります。でもそこには思わぬ落とし穴もあって・・・。いよいよ最終局面です。二人の行く末までどうかお付き合い下さいね！ (2021年9月26日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - みいさん» みいさん、こんばんは！コメント大歓迎ですよ〜。やる気が出るし励みにもなりますから♪感想を読んで次回の参考にすることも多々あります。本当にいつも熱心に読んでもらえて感謝感激です。最後までどうか見届けて下さいね。 (2021年9月26日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - なつさん、こんにちは😃なかなかの切れ者智ちゃんですね。２人の心情が複雑になるんだろうなぁ…。楽しみです！ (2021年9月25日 14時) (レス) @page22 id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2021年8月23日 23時
