all for “YOU” 〜君の罪、僕の嘘〜 2 【山】

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頬に冷たい空気を感じて、重たい瞼を少しずつ開いた。

目の前に広がったのは見慣れない白い天井。

頭が痛くて体はだるい。


ここはどこだ？




「あ、翔くん、起きた？」

声のするほうへ体を向けると、玄関で靴を脱いでいる智くんがいた。


「あれ？俺・・・」

慌てて上半身を起こして、体から滑り落ちた毛布で気付く。
俺はいつの間にか智くんのベッドで眠っていたようだ。


「二日酔いになってない？大丈夫？」

智くんがそばに寄って来て顔を覗き込む。

若干の頭痛は持ち合わせていたけれど「大丈夫」と答えた。



「俺、いつの間にか寝ちゃってたんだね」

「そうだよ。もうビックリしたよ」

智くんが可笑しそうに笑いながら言う。

「何が？」

「何がって覚えてないの？」

そしてチラッとこちらに視線をよこした。


何かやらかしたっけ、俺？


「夕べ、いきなり翔くんに羽交い絞めにされたと思ったら、そのまま倒れて寝ちゃうんだもん。
ビックリしたよ」

「そうなの！？」

「うん、そうだよ！」


いやいや、あれは決して羽交い絞めにしたわけじゃないんだけどな。


「昨日はあんなにマティーニばっかり飲んで。
度数が高いショートカクテルは、飲み過ぎたら確実に悪酔いするんだぞ」

智くんは少々呆れ顔。

「すみません・・・反省してます」


取りあえず素直に謝っておこう。


「そう言う智くんはもういいの？
昨日、発作が起きそうになってただろ？」

「俺は大丈夫だよ、慣れてるし。
やっぱりあの日のことを思い出そうとするとダメなんだ。
自業自得なのにね。
でもちゃんと話すから・・・だからもう少し待ってくれないかな」

「焦らなくていいよ・・・」

「うん、ごめんな。
ちゃんと気持ちを固めてから自分の口で話す」



智くんは、ちゃんと話すと約束してくれた。

正直、今すぐにでも真相を知りたい気持ちはある。
でも、彼の気持ちの準備が出来て、自ら話してくれる時まで待とうと思った。


それまで智くんがまた息苦しくならないように、俺が支えたいと思った。

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