all for “YOU” 〜君の罪、僕の嘘〜 2 【山】

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「じゃあ、かんぱーい！」

ビールの缶とウーロン茶のグラスをカチンと合わせた。

それから俺たちは智くんの仕事の話や、俺の大学の話で盛り上がった。

智くんはスピリッツやリキュールに造詣が深く、話している時の彼はいつも以上に饒舌だった。

言われてみれば、本棚に何冊か関連本があり、よく勉強しているのが窺える。

俺のほうはというと、ゆくゆくは小児科医になりたいという話をした。

智くんはそれをとても楽しそうに聞いてくれて、俺もなんだか嬉しくなった。

そして会話が一段落したところで、ウーロン茶を飲みながら感慨深そうに智くんが口を開いた。

「なんか不思議だよね」


「何が？」

「十年前は俺たちはまだ子どもで、山風村しか知らない田舎者で・・・。
でも今は都会の真ん中でお酒の話なんてしてる。
不思議じゃない？」

「そうだな、不思議だ・・・」

「もう俺たち大人なんだなあ」

「うん、大人だね」

「小学生の頃は俺が一番背が高かったけど、きっとみんなに追い越されてるんじゃないかな？」

「ははっ、そんなこと気にしてんの？
和もあんまり背が伸びなかったって嘆いてたよ。
多分、智くんと同じくらいかな？」

「そうか・・・みんなに会いたいなあ・・・」

「えっ？」


智くんがみんなに会うということは、あの日の真相を話すということだ。

でも、あなたはまだ・・・。


「でもさあ、みんなにすごく会いたいのに未だに決心がつかなくて。
自分勝手にも程があるよな、俺」

智くんは俯いて小さく笑った。

「そんなことないだろ？
俺はずっと智くんのこと待つって決めてんだから！」


そりゃあ、本音を言えば早く本当のことは知りたいとは思う。
でももう俺は焦らない。


「うん・・・翔くん、ありがと」

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