検索窓
今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:235,465 hit

61 ページ14


「智くん、大丈夫?
辛かったらもう無理して話さなくていいから」

「うん・・・。
でもこれだけは知っておいてほしい。
俺が引っ越したのは父さんが村の人たちに悪く言われたからじゃない。
俺の父さんは、そんなことで逃げるような人じゃないから」

「それってどういうこと!?」

「俺のせいなんだ。
俺、どんどん具合が悪くなっちゃって。
心療内科の先生が自分ではもう対応出来ないからって、先生の先輩でもある精神科医を紹介してくれた。
それが東山先生なんだよ」

「それで智くんは家族で東京に出て来たのか・・・」

「誰にも告げずに引っ越したのは、俺の病気のこと知られないようにするためだったんだ。
こういうの、面白可笑しく言う人もいるからって父さんが」

「そうだったのか・・・」



そこまで話して会話は途切れてしまった。

智くんが少し冷めたカフェラテをまた口に付ける。
一口飲んで、彼はふうっと大きく息を吐いた。


俺はというと、彼の衝撃的な話に肌が粟立つような感覚に陥った。
タバコとZIPPOを取り出そうと無意識のうちにコートのポケットに手を突っ込む。

そしてあっ、と気付いて慌ててその手をポケットから出した。



「東山先生と出会えて本当に良かったって思ってる。
先生に話を聞いてもらったら心が軽くなって。
発作の頻度も減って少しずつ自分を取り戻せたんだ」

「先生は知ってるの?
その・・・智くんが・・・」

「火を付けたこと?」

「うん・・・」

「それは知らない。
俺はあの日のことは誰にも言ってない。
みんなで誰にも言わないって約束したし・・・。
それにそれが自分の使命だって思ってる」



“使命”

智くんの言うその言葉の意味が分からなかった。
自分の犯 した罪を誰にも言わないことが彼の使命なのだとしたら、もしかしたらそこにあの日の真相が隠されているのかもしれない。


62→←60



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (408 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
801人がお気に入り
設定タグ: , 大野智 , 山コンビ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なつ(プロフ) - 青奈さん» 青奈さん!Mステ私もリピしまくってる。もう感動する( ;∀;)これは永久保存版にしなくては!次章では具体的にあの日のことを語ります。お楽しみに!あー今からまたリピしようかな~☆ (2015年10月28日 21時) (レス) id: 758e137704 (このIDを非表示/違反報告)
青奈(プロフ) - なつさん☆こんばんは!遅くなってしまいました(>_<) 放火の原因が成績?!他にも何かあるのかしら?引き続き智くんが何を語るのか楽しみです☆ 次回はもう新章ですかぁ?わっ!早い(*^^*) 楽しみにしてるね☆ 私はMステのリピが止まらず全ての思考がストップ(笑) (2015年10月27日 21時) (レス) id: ce0fe14fe4 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - しるひさん» 「夫婦みたい」発言は次章にも響いてくるので、ご期待ください!これから智を巡ってにのみーと翔さんの熾烈な戦いが始まるので、お見逃しなく! (2015年10月27日 11時) (レス) id: 27a91629dc (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - ろざさん» ああ、あのサブタイトルはお分かりの通り、ふざけて付けてるよ♪ずっとシリアスな内容が続くと気が滅入るから。だから軽く流しちゃってください!!次章もよろしくです☆ (2015年10月27日 11時) (レス) id: 27a91629dc (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - kisaraさん» kisaraさん、嬉しいコメントありがとうございます!とうとう智くんが語り始めちゃいましたよ。次章では相葉君がちょこちょこ出てきそうな感じです。乞うご期待くださいね☆ニノが号泣って、リアルではあまんり想像つきませんよね〜・・・ (2015年10月27日 10時) (レス) id: 27a91629dc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なつ | 作成日時:2015年10月9日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。