独立独歩のじゃぱにーず 3 (ページ2)

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グッバイページ2

夏独特の静かで爽やかな空気の朝。今日はシリウスがホグワーツへ一足先に戻る日だ。

「本当に帰るの？まだいてもいいのに」
「あぁ。流石に世話になりっぱなしじゃ情けねーからな」
「はは、これから静かになるなぁ」

しみじみと言う彼女に、シリウスは悪戯っぽくにやりと笑った。

「何だよ、俺がいなくなって寂しいのか？なら考えてやらねぇこともないな」
「元気でね」
「即答かよ」

馬鹿馬鹿しいやり取りをした後、2人はお互いにぷっと軽く吹き出した。

「それにしても良いの？行き先が実家じゃなくてホグワーツで」
「あんな息が詰まるような所より、ホグワーツの方が100倍マシだ」

ことのきっかけは数日前。Aの家にふくろう便で手紙がシリウス宛に届いたのだ。送り主はダンブルドア。どうやら彼には全てお見通しのようだ。

内容はホグワーツかブラック家のどちらかに戻ること。両親が心配していること。

そして戻ることによって瞬間移動魔法のお咎めが今回限り取り消しにされること。
この沙汰にはやはりブラック家が少なからず絡んでいるのだろう。ただでさえグリフィンドールへ組み分けられたシリウスが、親に逆らい規則を破ってまで家を出たなんてブラック家にとっては恥もいい所だ。

だがホグワーツという選択肢を与えたのは、恐らくシリウスを案じてのダンブルドアの計らいだろう。ブラック家が動くのであれば前触れもなくシリウスに接触するはずだ。

「この夏休み、色々世話かけて悪かったな」
「いいよ気にしなくて。私も楽しかったし」

Aのその言葉に、嘘偽りは一切なかった。それを理解したシリウスは、少し照れ臭そうに頭を掻く。

この夏休みの2週間の思い出は、シリウスとってとても新鮮なものだった。普段殆ど縁がないマグルの生活に触れ、他愛もない話を飽きることなくずっとし、夜には心配事も何もなくぐっすり眠り、朝を迎える。
この生活がずっと続いたらいいのにとすら思った。

しかしこのままではAに少なからずの迷惑をかけてしまう。立場も背負うものも、彼と彼女では違うのだ。

「ま、どうせあと2週間くらいで新学期だしな」
「だね。永遠の別れじゃないし」
「そういうことだ。それじゃ、俺は戻るぜ」
「うん、またね」

ドアを開けてシリウスが出て行こうとしたその矢先、ふと、彼は口を開いた。

「なぁ」
「ん？」
「俺、Aのこと、嫌いじゃないぜ」

それを聞いた彼女は、軽く笑った。

「そんなの知ってるよ、シリウス」