・ リーマスside ページ49
「人種や国籍の違いで問答無用に人を見下すお嬢様方よりは、人狼の方がよっぽど良いと思うよ」
Aは皮肉っぽく「お嬢様」の部分を強調した。
へらりと笑いながら、彼女は言葉を続ける。
「満月の日以外は普通の人間となんら変わりないよ。
そりゃあ理性に欠けて暴れるのは良くないよ？
でも、偏見で判断して好き放題言う君らの方がよっぽど動物的じゃない？」
動物的。Aのその言葉を聞いた彼女たちは、見る見るうちに各々の顔を真っ赤に染め上げた。
そして、テーブルに置かれたジュースが入ったコップを掴み、彼女の顔へとぶち撒ける。
「猿のくせに生意気なのよ！調子にならないで！」
「そう言うところが動物的なんだよ」
ジュースをぶち撒けられるのが慣れているのか、はたまた予想の範囲だったのか、Aは慌てた様子はなく、彼女に負けじと言い返していた。
「も、もういいわよ、猿なんか放っておいて行きましょう」
「そうね、相手にするだけ無駄だわ」
怯む様子がないAに、彼女らはたじろぎ、さっさと席を立ってその場を足早に離れていった。
Aは彼女らを一瞥すると、ため息をつきながらローブで顔を拭う。食べかけだったコテージパイもジュースを被って酷い有様だった。
「今度はリンゴジュースか」
呆れたように独り言をぼそりと漏らしたあと、Aは簡単にテーブルを片して席を立った。
僕はすかさず彼女の元へ駆け寄る。
だって嬉しくて仕方がない。彼女が人狼を「普通の人間と何ら変わらない」と言ってくれたことが。
人狼の恐ろしさを、醜さを、知ったうえでそう言ってくれた。僕の劣等感を肯定してくれた。
それが心から嬉しくて堪らない。
「A…！」
「あっルーピン。今の私リンゴ臭いから近づかない方がいいよ」
リンゴの臭いとか、場所とか、まだ残ってる生徒の目とかを考えず、僕は思いのままにAを勢いよく抱きしめた。力強く、そして幸せを噛みしめるように。
「ちょっ、ちょ、え、急にどうしたのルーピン！？」
「A、A…！」
「はい、何ですか…！」
「A〜！」
「だから何なのさぁー」
僕にされるがままのAは、困ったように声を上げた。
「ねえ、リンゴ臭くない？ハグは嬉しいけど絶対ルーピンに臭い移るよ？」
「全然いい。移ったって構わない」
「えー、マジ？」
「うん！」
マクゴナガル先生が「いつまで貴方達はそうしてるんですか！」と注意しに来るまで、僕はずっと彼女を抱きしめ続けた。
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ナタデココ(プロフ) - いつもハリボタで夢主が日本人差別を受けると思う。それマグルの差別とおんなじじゃないかって。シリウスにガツンと言いたい🤭 (9月9日 14時) (
レス) @page9 id: bb115dbd7a (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮。(プロフ) - 同情するなら金をくれ!!←この作品が大好きです!!夢主の名言集作れそうで本当にタメになりました!!ありがとうございます!!(?) (2021年6月29日 18時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - 河川革皮さん» ありがとうございます！見切り発車で書いた小説なので、所々ぐだぐだしていますが、楽しんでいただけたようなら幸いです！嬉しいコメント感謝です！ (2020年5月7日 14時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
河川革皮(プロフ) - こういうのホント好きだわ。差別とかいじめに負けない心を持ちながら周りと仲良くしていく物語。こういうの初めて出会って、すっごい良いと思った。ギャグ的要素も入ってるし、本当に最高。 (2020年5月7日 11時) (レス) id: 90a63fb1d8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - カカオさん» 応援コメントありがとうございます！どこまで書けるか分かりませんが、楽しんでいただけたら幸いでございます！ (2020年5月3日 21時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年4月30日 23時
