遭難者とわんわん シリウスside ページ41
ジェームズとピーターがチェスをしている中、俺はリーマスとお喋りに興じていた。
するとそこで、部屋のドアがドンドンと荒々しく叩かれる。叩いた奴は相当焦っているのか、何度も何度もドアを力強く叩いていた。
部屋にいるもの全員がドアに注目している。
何事かと思い、俺はドアを開けた。訪問者は、普段はこの部屋に絶対来ないエバンズだった。案の定ジェームズが「やあエバンズ！」と目を輝かせているが、当の本人はそれどころではない焦りようだった。
「ルーピン！Aを見なかった！？」
顔を真っ青に染めたエバンズが、リーマスに聞く。
何であの猿が？と俺は不思議に思いリーマスを見るが、リーマスも首を傾げていた。
「さぁ？僕は見ていないけど…。どうしたんだい？」
「Aが見当たらないの！夕食の席にも顔を出していないし、セブに聞いても、スリザリンの寮のどこにもいないらしいのよ！！絶対おかしいわ！」
どうやらあの猿が行方不明らしい。女子トイレや図書室、各教室を探しても見当たらないとエバンズは言う。
「っ、いつからいなくなったんだい？」
「放課後からよ！お願い、Aを探すのを手伝って！」
エバンズが必死な顔で懇願する。リーマスもあの猿のことが心配なったらしく、慌てた様子でエバンズと共に部屋を飛び出していった。
あの猿のことだ。フラフラとどっかへ行くことはあり得なくもない。
しかも、この広いホグワーツのことだ。きっと入れ違いが起きているのだろう。何を焦っているのか俺には理解できなかった。
「シリウス、僕らはサクラバを探しに行くけど、君は行かないのかい？」
「行かね。何で俺があんな奴を」
以前あの忌々しい黄色い猿に恥をかかされたことを俺は未だに覚えている。忘れられる訳がない。
あっさりとあいつの捜索を断った俺を、ジェームズは咎めることはしなかった。
「そうかい。分かったよ」
それだけを言い残し、ジェームズはピーターを連れて部屋を出て行った。
一体何だと言うのか。
＊＊
1人で部屋にいるのも退屈なので、俺はふらふらと意味もなく廊下を歩いていた。
すると、後ろから声をかけられる。この声は女の声だった。
「シリウス！偶然ね！こんなところで会うなんて！」
「何だ、お前か」
嬉しそうに俺に語るそいつは、見覚えがあるが名前は知らない女だった。
上級生だが、最近やけに俺に絡んでくる。
こいつも所詮は俺の容姿や俺の家柄を見ている女の1人だ。誰も俺自身を見ちゃいない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナタデココ(プロフ) - いつもハリボタで夢主が日本人差別を受けると思う。それマグルの差別とおんなじじゃないかって。シリウスにガツンと言いたい🤭 (9月9日 14時) (
レス) @page9 id: bb115dbd7a (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮。(プロフ) - 同情するなら金をくれ!!←この作品が大好きです!!夢主の名言集作れそうで本当にタメになりました!!ありがとうございます!!(?) (2021年6月29日 18時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - 河川革皮さん» ありがとうございます！見切り発車で書いた小説なので、所々ぐだぐだしていますが、楽しんでいただけたようなら幸いです！嬉しいコメント感謝です！ (2020年5月7日 14時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
河川革皮(プロフ) - こういうのホント好きだわ。差別とかいじめに負けない心を持ちながら周りと仲良くしていく物語。こういうの初めて出会って、すっごい良いと思った。ギャグ的要素も入ってるし、本当に最高。 (2020年5月7日 11時) (レス) id: 90a63fb1d8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - カカオさん» 応援コメントありがとうございます！どこまで書けるか分かりませんが、楽しんでいただけたら幸いでございます！ (2020年5月3日 21時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年4月30日 23時
