見廻り組一番隊隊長の愛

五話 ページ5

「……えー皆にお知らせがある！」









現在、真選組の敷地では集会の様なものが行われていた



そう、Aの真選組入隊(仮)の紹介の為である






「今日から見廻り組一番隊隊長のAちゃんが真選組に仮入隊することとなった！詳しいことは言えないが、Aちゃんを歓迎してくれ！」









近藤がそう言って一息ついたその瞬間





その場は喜びであろう叫び声が響き渡ることとなった






「………えー、落ち着け。じゃあAちゃんから一言を」




「えー、女ですが今まで見廻り組の一番隊隊長を勤めてきただけの自信はあります。皆さんどうぞよろしくお願いします！」







キリリとした顔を作りAがはっきりと言うと、更にその場が騒がしくなる






その状況に近藤は満面の笑み、沖田は今にも斬りかかりそうな雰囲気を放っており土方は鬼と化していた




そんな幹部組をたしなめながら苦笑いをしている山崎もやはり表情はにやけていた









「……あー緊張した。けどトシと総悟凄い怖かったよ……？」



「………何でもねェ、つかお前いつまで居るんだ」



「…局長の怒りが収まるまで？」









苦笑いをしながら言うAに土方は拗ねた様な表情をした









「……お前には特別甘ぇからな」




「………あはは。そうかな……？」









土方は表情が固くなったAを見て特に何かを言う訳ではなく、煙草を懐から出し口元へと持っていく









「……トシ。いつもありがとね、私を助けてくれて。ここの人達はとても暖かい…」





「………そうか」









そう言って立ち上がったAは腰の刀を畳の上に置くと、木刀を持ち部屋の襖を開けた









「……新人だし先輩方の洗礼を受けてくるよ！」









にこにこと笑顔のAに土方は苦笑いを溢しながら呟いた









「…お前が洗礼をするみてェなもんだろうが」









勿論土方のその呟きの通りに、道場は男達の悲鳴で響き渡るのであった

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