見廻り組一番隊隊長の愛

三十話 ページ32

あれから一ヶ月経った









私は無事に見廻り組一番隊隊長として復帰して、局長ともあの事件の前のような関係へと進んでいっている気がする









「…あ、信女！あの事件どうなってる？私も参加したいんだけど…」









今江戸で起こっている、過激派テロリストの事件を前々から私も担当したいと思っていたので声を掛けた









「……何故、そんなに高杉に興味を持つの」









一見威圧的で冷徹に見える信女だけど、本当は優しいのを知ってるから怖くない







私はにっこり笑いながら胸を張って答えた









「…知りたいんだ。アイツの瞳に眠ってる野望を、アイツ自身を。そして私が捕まえたい。高杉を捕まえて聞きたいんだ、彼の見てきた世界を」









以前、高杉を遠目だけど見掛けたことがある。そして一瞬見ただけで高杉は普通じゃない、と感じた。同時に恐怖に似たものと血が熱くなるような感覚が体を支配した









私は彼の過去を覗いてみたい









「…アイツは危険。Aが敵う相手じゃないかもしれない」









…確かに、そうかもしれない




でも、私が出来ないのなら誰が出来るという根拠のない自信さえもある









「…お願い。一回だけでもいい、高杉と剣を交えたい。私は普段銃を使うけど、アイツとは剣で戦いたいと思うくらい」







真剣に信女を見つめると、こくりと静かに頷いて計画を話始めてくれた









計画内容は武器の取り引きを行うであろう来週を狙うとのことだった









私は血が騒ぐのを感じながらもう何年も使っていない愛刀をスラリと鞘から抜いた

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