見廻り組一番隊隊長の愛

二十二話 ページ23

「……伊三郎、もうAのことを解放するべき」









「………貴女は何も知らない。彼女は罪を犯しました、ソレの償いですよ」









もう日が沈みそうになっていた









夕焼けのオレンジと夜闇が混ざりあった色が広がっている









「………さて。婚約の手続きをしにいきますかね、これで最後です」









無機質な笑みを浮かべ、自分の隣で自分と同じ無機質な笑顔を浮かべるであろう純白のドレス姿の彼女を思い浮かべた









その空想に佐々木は満足そうに笑う









自分は何時だって彼女を想ってきた









何処かで聞いたことがある









愛がなければ憎しみは生まれない、と









私は彼女を愛している









………憎らしい程に。









「………、Aさん？どうしたんですか、そんなモノを持って」









「………貴方は狂っている」





「……」









「………私は貴方のように狂いたくはない、だから、だから……」







「…………さようなら」









その言葉と共に彼女は小さな刀で自らの腹を刺した









彼女はゆっくりと倒れ、瞬く間に紅い血がひろがってゆく









喉がからからになってゆく









何もせずにつったっている自分を、目を瞑ったAが笑った気がした

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