見廻り組一番隊隊長の愛

二十一話 ページ22

「……や、あ…」









好きだ、好き、大好き、









どんどん溢れて止まらない









でもあと少しで私はもう二度とトシには会えなくなっていて。









どうしようもないくらいに悲しくなっているんだ。









そんなのは……嫌だ









それならここでトシと最後の思い出を作って別れるよりも、









何もせずに別れたほうが……傷付かなくていいんだ









「………ふっ…！ん、はなしてっ…もう、行かなきゃっ…！」









その言葉にトシは一瞬、悲痛そうな顔をして、何も言わずに手を、口を離した









「………ああ」









もう、ぐちゃぐちゃだった









私の心の中は混乱と不安と恐怖と寂しさで埋め尽くされていて、







どうすればいい？私はどうすれば……









「……俺はお前を忘れねぇ。テメェが佐々木と籍を入れて、幸せになったとしても、俺はお前のことを愛し続ける」









「………だからテメェは戻って俺を忘れるんだ、んで佐々木と幸せになれ」









「………っ、っそんな……」









そんなの嫌だ









そんなの……悲しいよ…トシ。









「………ッいや、いやだいやだいやだいやだぁ……！」









ああ、私、最後の別れにこんなみっともなく泣きじゃくって。









「……いやだよ…っでも君が、貴方がそう言うなら……私は……」









……そうするしかないんだ…









諦めた様な、苦々しい笑顔をするトシに私はやっと涙が止まった









でも、トシの部屋の扉が閉まった後に聞こえたトシの小さな泣き声に私はまた涙が止まらなくなった

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