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『だめなんです……』
整理しながら話そうと思うも、口からは自然にボロボロと言葉が出てきてしまう。涙も一緒に、止まることはなかった。
『私は、総悟さんじゃなきゃ、だめなんです』
悔しい。他で代わりを繕うことの出来ない彼が恨めしくなる。私の中で唯一無二の存在となってしまった総悟さんでなくては、この胸にポッカリと空いた穴は埋められやしなかった。
だから、だめなのである。
『ごめんなさい……』
神威さんの顔が見れずに俯く。しかし、彼は私の両肩に手を置き、数回そこに手を落とした。
まるで「大丈夫」と言っているようで、恐る恐る顔を上げる。
『分かってたんだ。本当は』
「ありがとう」と微笑む神威さんだが、私はそのお礼の意味が分からない。結局彼はそれを教えてくれず、私の頭をくしゃりと撫でた。
ゆっくりと口を開き、「頑張れ」と言う。でも声はか細くて、その時の彼の顔は見れなかった。
『神威さん!』
部屋を出て行こうとする彼を引き止めるが、こちらを振り向こうとはしてくれない。でもきっと聞いてくれているだろうから、私は彼に「ありがとうございます」と背中に声をかける。
何を言うでもなく小さく頷き、神威さんは姿を消した。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時