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朧げな目で俺を見つめ、手を伸ばす。彼女の熱い指先が俺の頬を突き、その手にすり寄るように顔を近づけた。
『総悟さんだあ……』
ふふっと笑みを零すAは意識が混濁しているようで、この現状を良く分かっていない。
『これ、夢ですかね……?』
『そうだな、夢だよ』
だからおやすみ、と伝えるように、彼女の頭を撫でる。気持ちよさそうに目を細め、口元を緩めた。
そのままゆっくりと口を開け、柔らかい声で話し始める。
『夢だとこんなに近いのに、起きたら、離れちゃうんですね』
切なげに目を伏せたAは俺から手を離す。すん、と鼻をすすり、何度も瞬きを繰り返していた。
『ごめん……A』
『……それは何の、謝罪ですか?』
そう聞かれて押し黙る俺を、Aは残念そうに横目で見る。小さく息を吐き、首を振った。
俺の手から逃れるように毛布をかぶり、それによって篭った声になってしまう。
『……起きてる私に言ってください』
夢だから、きっと何も覚えていない。そう言っている彼女は、押し殺すように泣いているのだろう。
俺はそんなAを慰めることは出来ず、ただ独り言のように話し始める。
聞いているのか分からないが、それでも、届いて欲しかった。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時