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『……今日、会えますか?』
重たい身体を起こすだけで億劫の今。会いたいと自分でも思っていても、身体は言う通りに動かない。
額の上に腕を乗せれば、そこはやけに熱かった。喉も痛く、これはもしや風邪なのではないだろうか。
前だったら、「風邪引いたから来い」とA呼び出していた。しかし更に情けない姿を見せてしまう気がして、「無理だ」と断る。
『……そうですか』
電話越しでも分かるくらい落ち込んでいる彼女。
なんて声をかけたらいいか分からず、二人して押し黙ってしまう。
むせ返るような咳が出そうになり、「じゃあ」と足早に切る。
最後にAが何かを言いかけたような気がしたが、既に切れている電話を耳に当てながら、俺は咳き込んだ。
薬はない。熱さまシートも氷もない。
あるのは水だけで、食べるものすら無く、冷蔵庫の中は空っぽだった。
気怠い身体に鞭打って無理やり起こし、再び携帯電話を手に取る。か行にある「神威」と登録されている番号を力の無い指で押し、相手が出るのを待った。
『もしもし?』
『風邪引いた。なんか買ってこい』
『え? ちょ、』
返答を待たずに電話を切り、携帯を何処かへ放って俺は眠りにつく。
最後に頭に思い浮かんだのは、紛れもなく彼女だった。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時