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『治ったんだ、早いね』
『まァ、寝てりゃ治る』
次の日、少しだけ怠さの残った身体で会社に行けば、神威は俺を淀んだ目で見上げる。その目には何かを隠すように沈んでおり、見たくないモノが見えそうな気がして、自然を装い顔を背けた。
『今日仕事半休だろ? 飲みに行くの?』
金曜日の今日は半休であるため、同じ課の上司も同僚も、飲みに行こうと話している。しかしさすがに病み上がりで飲むわけにも行かず、行かないと首を横に振った。
『そう。……まあ、俺も行かないけど』
携帯を弄りながら、神威は間を開けてそう言っては軽く笑う。どこか気味が悪い上に、先日あんなことがあったばかりだ。
距離をおこうと思った刹那、椅子を回して俺の方へ身体を向ける。
『俺ね、好きな子がいるんだ』
「へぇ」とも「ふうん」とも、相槌の一つもうてない。神威は俺が何も言わないことを分かっていたようで、そのまま話しを続ける。
『昨日彼氏がいるか聞いたんだけど、いないって言ってたから、頑張ってみようと思う』
「応援してよ」と釣り上げた口角で話す神威。相手の女のことは分かっている。神威よりも、俺の方が知っているつもりだ。
しかし、頭を鈍器で殴られたみたいに、思考回路が遮断されてしまった。
『……いつまでも自分のモノだとか、そういう驕りはやめてよね?』
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時