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しゃくりあげながら泣く私の傍に彼は黙って居てくれた。時折背中をさすったり頭を撫でたり……まるで小さい子をあやすような感じだったが、その優しさが身に染みていく。
『神威さん……』
『ん?』
『総悟さんって、彼女いるんですか?』
私の質問に押し黙る彼は、難しそうな顔をして唇をキュッと結ぶ。神威さんは私に視線を向け、そうして目を伏せた。
『……知らないよ、居ないんじゃない?』
「誰も」と呟いた彼の声が、私の耳の奥に木霊していく。そうか……そうだ。そうなのだ。
私も、違うんだ。彼の大切な人ではないのである。
『Aは……』
そう私の名前を呼ぶ神威さんのラピスラズリのような目が、私を捉えた。その中の私はユラユラと揺れており、まるで自分の中身を見ているみたいだ。
『彼氏、いるの?』
彼の質問に、私の喉がヒュッと鳴る。私は今まで幻想のカレに恋をして、愛を感じて、そんな馬鹿げた夢をみていた。もっと早く気付いていれば良かったのかもしれない。
でも、今更だけどやっと気付けたのだ。
『……いない、です』
私に彼氏はいないって。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時