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UBせりなな ページ8

・・・



狭いユニットバスに逃げ込んだ俺。

追いかけてきて
トイレの上に座り込んだ(和)。


何やってんだろう。




「こんなとこに逃げても
おれ、ごまかされないよ。」

「‥。」

「ねぇ、まー兄。
さっきのはさ、おれに
キス、しようとした?」

黙ったままの俺に
(和)は、恐ろしい事を聞く。

答えられない。
だけど、嘘も、つけない。

やっぱり、(和)は
気がついてしまった。



「ごめん‥気持ち悪いよな‥。
兄弟でさ、こんな‥。」

なんだか、また、笑えてくる。
笑っている場合じゃないのに。

「わからないんだ。
いつの間にか、お前のこと
弟なんだけど、それだけじゃなくてさ
自分でもよくわからない気持ち
ずっと、隠してきたんだ。」

いいんだ
こんな風に、ちゃんと話せるのも
今日が最後かもしれない。

軽蔑されても仕方ない。

だから、全部。

「いつからか、わかんないくらい
ずっと、ずっと
(和)のこと‥俺のものになればいいって
そんな身勝手な気持ちで、見てた。
そんな自分が怖くて
家を出たんだ‥。」


薄いカーテン越し
並んで、座る、隣どうしだから
言えたのかもしれない。

正面から見られたら
こんな風に言えたかな。

(和)との、隣どうしが
こんなにつらい日が来るなんて。

子供の頃は、考えもしなかった。


「だから。(和)。
もう、俺、(和)には会わない。
多分、自分の気持ち、変えられないから。」

さようなら
家に、おかえり

そう、言おうとしたら
カーテンが、勢いよく開けられた。


横並び
だけど、まっすぐこちらを見る
俺の大好きな、薄茶色のガラス玉は
真っ赤になり
静かに、流れる涙に溺れていた。

UBせりはち→←UBせりろく



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せりか(プロフ) - さくらさん» さくらちゃんー!遊びに来てくれてありがとう。UBに感じた切なさが、こんな形になりました。そう言ってもらえて、書いた甲斐があるよー。涙。ありがとうね。明るい未来に繋がるUB、伝わって嬉しいです。 (2017年11月16日 13時) (レス) id: fe05f2340c (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - せりかちゃーん!ぎゅっと切なくて、でも柔らかい温かさがあって。UBを初めて聴いた時の感情を思い出したよ。素敵なお話をありがとう♪3年後、二人並んで笑っている姿が見えました^^ (2017年11月16日 0時) (レス) id: 39532f89de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セリーンヌ・サチョーリカ x他1人
作成日時:2017年11月13日 12時

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