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428. ページ6

言い切る私に心配そうに目を向ける





「テレビ見たけど…ちゃんと眠れてる?」

「……はい」





これだけ派手に報道されてたら気付くよね

馴染みの看護師さん達も
私に気を使ってるのが分かって
居心地が極めて悪い





慣れ親しんだ人達に
否定することも出来ないって
想像以上にしんどい





「仕事はどう?忙しい?」

「いつも通りです」





淡々と被せ気味に言った私を見て
先生はフゥとため息をつくと

先生は後ろに立つ看護師さんに
何か指示を出す

分かりましたと席を外した事で
診察室には先生と二人になった





カラカラと椅子のまま私に近付くと
真っ直ぐ目を見てとても小さい声で聞く





「彼と別れたの?」

「…違う」

「やっぱり誤報なんだ…芸能界って大変だね」
 
「…」





そうか
先生は照史と話した事があるんだった

何の話をしたのかな

誤報だと瞬時に思えるような
ナニカがあったのかな





「少し…仕事お休みしようか」

「え?」

「自分で思っているより、心が疲れてるよ
 休憩しなきゃ…壊れてしまう」





分かっているつもりでも
医師に言われた重みは凄い

覚悟して仕事片付けてきたはずなのに
全然覚悟なんて出来ていなかったんだ





「再来週には、全部の結果が出る
 その時にちゃんと話そう

 誰を連れてくるかは
 Aちゃんに任せる」

「1人で聞きます」

「家族じゃなくてもいいよ
 例えば…桐山君とか」

「絶対、嫌」

「彼は、ちゃんと受け止めてくれる
 真剣に向き合ってくれるよ」

「…」





分かってるよ、そんな事



真剣に受け止めて支えてくれる

自分が壊れそうになっても

私を支えてくれるだろう



だから言わないんだよ





「頼るのも愛情、隠すのも愛情
 どっちを選ぶのが正確、なんて無いよ」

「…絶対言わない」

「…w
 また再来週、待ってるね」





そう優しい笑顔で言った先生から渡された会社に提出する為の診断書


そして


気持ちを落ち着かせる薬が新しく増えた





処方された薬を手にした途端
頭の中が真っ黒になった


真っ白じゃなくて、真っ黒

ブレーカーが落ちた部屋の中みたい



気が付いたらホテルの部屋に居た



私…何してんだろ

こんな広いホテルで

1人で





え、本当に何してるんだっけ





手元のビニール袋に入った新しい薬

増えていく薬

治らない体





再来週には…私の体の全てが分かる

怖くて怖くてたまらないはずなのに

頭が動かなくて良くわからない

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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時

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