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店のドアを開けると
「もう来てはるよ」と店長が微笑む
少し奥まった所にある個室のドア
深呼吸をしてからゆっくり開けると
中にいたスーツ姿の男性が
少し驚いた表情で慌てて立ち上がった
身長は流星と同じ位か？
Aとよく似た
整った顔立ちの優しそうな人
「突然のお電話、失礼致しました。
ご足労頂きありがとうございます」
そんな丁寧すぎる挨拶から始まった
お互いの自己紹介を簡単に済ませ
飲み物と簡単な食べ物を注文する
運んできた店員がドアを締めた瞬間
唐突な質問が飛んできた
「あの…こんな事僕が聞くのもおかしいんですが…
中間さんはAの恋人…では無いんですか？」
「え？」
「大切な人、信用出来るから大丈夫
としか教えてくれないんです
だから、この方がいらっしゃるんだと思っていたんです」
机に置かれたのは
照史とAの写真
ドレス姿で撮ったアルバムと
小さなポラロイドカメラで撮った
沖縄らしき場所での写真が入ったアルバム
それと
アイツがずっと大切にしていた
2人で最初に撮った写真
「妹の部屋に箱に入れて置いてありました」
透明なハードケースに入った２人の写真
中身は一度破れた後があり
裏面をテープで補強されていた
破いたのは照史や
本人が言ってたのはホンマやった
水滴が落ちて乾いた跡が
いくつもついている
連絡が取れなくなった後の
彼女の様子が垣間見えて胸が痛い
「彼は…元恋人です
僕はAさんの友人です
彼と同じグループで活動しています」
2人の事を簡単に説明する
アイツが付けた期限と理由
俺達の仕事とあの報道
「去年の夏、何も言わずに居なくなったんです
誰にも何も
彼氏に別れ話を急に持ちかけて
翌日には連絡が取れなくて…」
お兄さんは
「あいつらしい選択ですね」
と悲しそうな表情で微笑む
「あの…Aさんは今」
聞きたいのはソレ
もしかしたら
ココに居るかもって思ったけど
お兄さんはグッと表情を固くした後
視線をテーブルに落として呟く
「妹は…入院しています」
想像していた1つの答えだからか
それほど衝撃は受けなかった
治らないと言っていたし
確かにあの頃
体調は優れなかったから
それでも
お兄さんの表情の硬さが気になって
心がザワつく
ゆっくり彼女の病気について話し始めた
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年9月11日 3時
