20話 ページ27
「とりあえず入ろう。あいつらが追って来てるかもしれない。」
女の人はそう言って、私たちを居間に通してくれた。
二階建ての小さな家だった。古いのか、歩くと床がギシギシと音を立てた。
「座って。今お茶を出すから。」
木製の椅子に腰かけた。
アリアとゾーイは周りをキョロキョロと見渡している。
「どうぞ。」
程なくしてお茶が出て来た。
私は喉が渇いていたので真っ先に手をつける。
お茶を一口飲んだ後、気になったことを聞いて見た。
「ねぇ……お姉さん。なんで、私たちを連れ出したの?」
「……話せば長くなるんだけど、大丈夫?」
「大丈夫だよ。聞かせて。ゾーイとアリアも聞いといてね。」
「……この街に、隣の国が侵略してきたのは知ってる?」
「知ってるよ。」
「その影響で、この街の1番大きな駅の買い物をする建物をこの国の市民や住んでる人をその建物に閉じ込めて、この土地を独り占めしようとしたんだ。」
「……」
「そして、隣の国で働いていた私は兵士になった。そこの建物の監視役になったんだ。実は君たちにも一回会っているんだけど、覚えてる?」
そう言うと、アリアがガタガタと震えだした。
「……アリア?」
「このひと……私を蹴った……」
「あぁ……ごめん……痛かったよな……」
そう言って、女の人は口ごもった。
すかさず、私が尋ねる。
「そのあとは?」
「その後、閉じ込めていた人たちをどうするかっていうのを決めたから、君たちは施設に送られただろ?私は下の階級の兵士だったから、詳しくは聞かされていないんだけど。」
「あの白い建物でしょ?」
「そうそう。それで何も知らなかった私はその施設の爆破をしろと言う命令を受けたから、爆破したんだけど……そこに、君たちがいてね。君たちをこのまま見放すわけにもいかないし、罪滅ぼしってとこかな……」
「そっか……大変だね……」
「うん……君たちも大変だったろ?ご飯もまともに食べてない。日光も浴びれない。風呂にも入れない状態で……きっと心にも深い傷を負っていると思う。親とも引き離されただろ?」
「お母さんとお父さんはどこにいっちゃったの?」
「お父さんとお母さんは、私が働いていたように兵士として働いているんだ。大人は大切な労働力だからな。」
「もう……会えないよね……」
そう言って、アリアが泣き出してしまった。
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作者名:ちぇりーたぴおか | 作成日時:2017年12月15日 22時