17話 ページ22
「もう朝……？」
時計を見ると、朝8時だった。
時計を見ているうちに、髪に変な感覚を覚えた。
髪が濡れている。
そして、目も変な感じ。
ようやく自分が寝ながら泣いてたことに気づいた。
ふと、あの夢の中に出てきた『お姉ちゃん』の存在が気になった。
(あの人は誰だろう。また会えるかな？)
1人で色々考えていると、MI8が目を覚ました。
「おはよう、A。今日も頑張ろうね。」
「ありがとう。」
言葉を交わし、クッキーを食べる。
ゾーイとアリアは寝ている。
少しむせてしまったけど、なんとか薬も飲めた。
今日はMI8が実験の番。
「行ってくるね。ゾーイとアリアをよろしくね。」
「行ってらっしゃい。」
MI8のお見送りをして、窓の外を眺める。
いつもと変わらない景色。羊の絵が描かれているだけ。
(早く出たいな……お父さんとお母さんに会いたい……)
夢の中は楽しかった。
暖かい家と布団。
こことは違う美味しいご飯。
冷たいところなんてなかった。
もう一生、夢の中で暮らしてもいいとも思う。
ため息が出そうだった。
すると、小窓の外は雨が降り出した。
黒い雲が、一面に広がっていき、雨は勢いを増す。
部屋の気温も下がり始め、温度計は12度を指している。
冷暖房が完備されていないこの部屋はとても寒かった。
急いで毛布にくるまる。みんな、薄手の服を着ているだけ。
他の部屋にも行くことは禁じられている。
1人で過ごすには辛すぎる。
ためしに、ゾーイとアリアの体を揺すってみた。
間も無く2人とも起きた。
「おはよう。アリア、ゾーイ。」
「MI8は？」
「実験だよ。でも、すぐに帰ってくるよ。」
私たちはいつも通り、本を読んで、薬を飲んで過ごした。
でも、ひとつだけ“いつも通り”じゃないことがある。
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作者名：ちぇりーたぴおか | 作成日時：2017年12月15日 22時
