兄貴のお気に入りに恋をした【灰谷竜胆】 (ページ50)

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Another story 【ユメ】ページ50

シャワーから出てきた灰谷さんは
スェットのズボンに上半身裸で、派手な刺青が
身体中に施されていた。
どこに目をやればいいか分からず
とりあえず言いつけ通りに携帯の画面を眺めておく。

彼は冷蔵庫からジュースを取り出しゴクゴクと飲み終わると
私の前の机に未開封の水を無言で置いてくれる。

私が飲む用の水？

｢トイレはあっち、｣

さり気なく廊下の突き当たりを指さして教えてくれたかと思えば
今度はどこからか持ってきた薄い毛布を
ソファに置き｢それ、テキトーに使え｣と
こちらを1度も見ずに自分の部屋？へ入っていった。

きょとん

六本木のトップと噂される不良が何故Aに興味を持つのか、いやそれより、

｢…ギャップがすごい｣

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日付が変わって、ようやくメールの返事が帰ってくる。

メール②
[先に帰ってごめんなさい、しばらく公園で待ってたけど
時間も遅かったので先に帰ることにしました。
明日は実習があるので、おやすみなさい]

｢ん？｣

一気に2通のメール。
サーバーエラーはよくある話。

先にサーバーを確認すべきだった。

メール①[近くの公園にいます、気づいたら電話ください]

夜遅くに待ってくれていたのに申し訳ない。

とりあえず蘭さんに知らせねば。
ドアをノックして出てくるのを待つも物音1つ聞こえない。

蘭さんを起こしてまでメールの返事が来たことを知らせるべきか、どっちを選べば殺されないのだろうか←

しばらく悩んでゆっくり部屋を開ける。
電気はついていてベッドに蘭さんが寝転んでるのが見えた。
ドアを開けたまま大きな声で｢蘭さん！｣と呼ぶと
やっと気がついた彼がモゾ…と動き出す。

｢メール！返事きましたよ！｣
｢んあ？誰、あ、そっか。…で、何て｣
｢A無事に家に着いたって｣
｢…そ、じゃあ、寝る｣

｢あ、おやすみなさい｣
｢お前、｣
｢？｣
｢気ィつけて帰れ、な｣

…今、なんて？

そのまま蘭さんはまた眠りについた。

自分も少し休んで始発に間に合うように支度を済ませると
送ってくれる気配のない部屋に向かって
｢失礼しました｣と小声で会釈し靴を履く。

面倒見の良い彼のことを思い出しながら来た道を歩く。携帯の画面にうつるのは彼のメルアド、早々に交換していて良かった。

また会いたい、と思いを募らせながらメールを飛ばした。