兄貴のお気に入りに恋をした【灰谷竜胆】 (ページ27)

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27.再開ページ27

｢おぉ？！どうした竜胆｣
｢いや、うん、ごめん｣
｢お前、血…あ！鏡！！｣
｢買ってくる｣

｢…どうした、お前。物にあたるって、らしくねぇじゃん｣
｢ごめん｣

｢病院行け、ガラス刺さったままだと後々痛ぇぞ｣
｢ん｣

適当なタオルでぐるぐる巻きにした手をみながら見知った整形外科に行く。
(…だせぇ、ドラ⚫もんみてぇ)
喧嘩はしょっちゅうだから素人の応急処置じゃ間に合わない時はいつもここ。
ここの医者はこんな俺らに嫌な顔することなく
毎回やれやれ…と言った具合に手当てしてくれる。

｢手、ガラス刺さってっかも｣
受付の女にそう言うと｢また無茶しましたね｣と笑って返される。
変な気を使わないところが気に入ってる。

名前を呼ばれ診察室に入るといつものおっさん(医者)と…

｢お、お前！！｣
｢やっぱり！灰谷さん！｣
｢なんでお前がここにいんだよ｣
おっさんの隣に並ぶ、昨夜2ケツした相手。

｢カルテ見て絶対そうだと思いましたよ｣
｢お前、ここで働いてんの？｣
｢いえ、研修の身なんです、今日はよろしくお願いします｣

｢あれ、君たち知り合い？｣
｢ふふ、いろいろ縁あって｣

エンアッテ…

｢この子、昔っから喧嘩ばーっかりでねぇ｣
おっさんはそう言いながらタオルをくるくる解いていく。

｢痛いけど破片を取っていくね、東雲さん準備｣
｢はい、えっ…と｣
｢焦らなくて大丈夫、この子も今回は待ってくれそうだし。ね？｣
｢はぁ…｣

カチャンカチャンと銀色のトレーに必要なものを用意するAに目が向く。

風邪ひかなくて良かった、とか
夜あんま眠れなかったろ、とか
看護士姿似合ってるな、とか
そんなことが脳裏を横切っては消えていく。

ダメだダメだ、また口元が綻んで殴りたくなる、自分を←

｢用意できました、お願いします｣
戻ってきたAは真剣そうにおっさんのアシスタントをする。

うん、お前似合ってるよ。

｢痛いけど我慢ね～、動いたらいけないから抑えといて｣
｢はい｣

Aの手が俺の手に触れる。強めに押さえつけられながら
｢そんな力じゃ動いちまうぞ｣
｢え、はいっ｣
｢竜胆くん、お手柔らかにね｣