兄貴のお気に入りに恋をした【灰谷竜胆】 (ページ2)

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これはいつものパターンだ。

だいたい2時間くらい時間を潰して家に戻る。
延長するときは兄貴からメール来るし。

いつもは賑やかな街に出てブラブラするが、
最近じゃ夜風に当たりながらボーっとすることにも慣れてきた。

どこで暇を潰すかな、とコンビニへ足を運ぶ。

(…兄貴は元気だな)
ふとそんなことが浮かんだ。

兄のソッチの事情は知ったこっちゃあないが、
珍しく家に女を連れ込むって、何か訳があるのだと察し
自分は大人しく追い出されてやる。

しばらく立ち読みした後、1人分のコーヒーを買って
この辺どっか公園あったかなーっと考え始めたとき。

｢…うっ、く…ｯ｣

女…？泣いてる。

前からとぼとぼ歩く女とすれ違うと、

(…あ。)

さっき兄の隣にいた女だと気がついた。

「おい、」

なにもこの状況は珍しくはない。
兄貴に可愛いがられて勘違いした先に一瞬で捨てられる女、
相性が合わなくて服諸共放り出される女、
この様な場面に出くわすことは日常茶飯事。

つい声をかけてしまい面倒くさいことをしたな、と声をつまらせた。だがそれも不自然なので続ける。

｢何してんだ｣

｢…あっ、さっきの…。

…あの、先輩に会いに戻りたい、と思ってたところで…｣

？？？

｢兄貴んとこに戻るって？｣

｢…いや、あ、でも…そういうことになりますよね…
どうしよう…｣

？？？？？

言い直してるつもりか？意味がわからない。
俺の理解力がないから、とかじゃない…はずだ。

つか、兄貴は何をやってんだ。

チラと携帯を見るが何の着信もない。

まだ俺が家を出て30分そこらだぞ。
ビッチの方とヤッてるだろ、兄貴なら。

捨てられた分際で戻ろうとか図々しくね？

それに服が乱れてるわりには数十分でこの場所にいるってことは序盤から兄貴の機嫌を損ねたのだろうと察した。

なら俺も無視してオッケー案件だな。