兄貴のお気に入りに恋をした【灰谷竜胆】 (ページ29)

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家に帰りリビングを見渡す。
兄貴も寝てるようでここにはいない。

一応…と思い、浴室を見ると割れた鏡は綺麗に片付けられていた。

自分もゆっくりベットに沈み込み目を閉じる。
すぐに訪れる眠気に身を任せた。

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目が覚めたらもう外は暗くなってて
6時間…くらいは深く寝ていたようだ。

しばらくベッドの上でウトウトしながら
テレビの音につられてリビングに足を運ぶ。

兄貴が｢お前、次の日曜日俺に付き合ってくんね？｣
と俺の予定も聞かずに言ってくるもんだから
｢なに？相手だれ？｣と返すと

｢Aちゃん｣

｢…は？｣

｢正確にはAちゃんとビッチと俺とお前｣

｢部屋とYシャツと私？｣
｢そんなかんじ、てことでＷデートな｣
｢(ツッコんでくれねぇ)…なんで俺？パス｣

｢ビッチに言ってAちゃん誘う予定だったんだけどよ、
俺のこと意識しすぎてて来ないって言うから
竜胆の名前出したらギリギリ行くって話になった｣

ギリギリ？

｢それ来るの、来ねぇの｣
｢来るだろ｣

強気ー！

｢意識しすぎて来れねぇとか、初心(うぶ)でいいよな！｣
｢あ、うんソウダネ｣

悪い意味の意識だと思うけど、
このポジティブ兄貴にかかればそう変換されるのか。

羨ましいよ全く。

｢晩メシ食べよーぜ～｣
｢って言っても作るの俺だろ｣
｢ん、頼んだ｣

｢へーへー…あ。｣

｢？｣

｢鏡また買ってくるから今日は勘弁な｣
｢鏡ないのにどうやって洗顔すんだよ｣
｢できるだろ｣

長い１日が終わっていく。