ひらり、言の葉。

実はこんな裏話。2 ページ32

抱きしめられるように前から手を回され、あっという間に雑誌は奪われてしまった。


「うん？雑誌？」

「読もうとしただけだっつーの…。
相葉さんは漫画でしょ？返してよ。」


努めて冷静に言うけれど。
ふーん、と雑誌を眺めていた相葉さんは徐ろに1冊をパラパラと捲り出した。

そして、ぴたり、と止めたところをみて、にんまり、笑う。


「ふふふふふ。」

「なになになに？なんか面白いのでもあんの？」


俺と相葉さんの間では通じてる、今の出来事。
わかってない翔ちゃんが身を乗り出して聞いてくる。

相葉さんの広げている記事を覗いて…。


「あー、この前の野球大会ね！
ニノが参加してたよね、ウチからは。」

「ひゃひゃひゃ。そうそう。
あの、野球大会ね。」


普通に喋る翔ちゃんに対して、含みを持って話す相葉さん。
もう、見られたなら仕方ない。
するっとシカトすることにシフトチェンジして、俺はソファに身を投げた。

それでもふたりはわざわざ雑誌を持って、俺のそばにきやがって。


「ね、ニノ。雅紀からもらったグローブ持ってったんでしょ？」

「…ファーストミットね。」

「そうそう、それ。
俺、それなにで見たのかなぁ。
さすがニノ！って笑っちゃったんだよね。」


雅紀のことだいすきだもんなぁ、なんて、俺の頭をぐりぐりする翔ちゃん。

悪気ない。
悪気ないのは、わかってる。

別に、俺が相葉さんを好きなのは事実だし。否定する理由はないから、いいんだけど。


…そんな俺をみながら、ニヤニヤしてる相葉さんに、一発お見舞いしてやりたい。


そして、言ってやりたい。

あの日、あのファーストミットをわざとらしく俺の手元に寄越したのは、オマエだと！！

俺は声を大にして言ってやりたい！！

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