ひらり、言の葉。

おひげ。1 ページ29

後ろから伸びてきた手のひらが、無遠慮に頬を、あごを、触る。

なんなんだか…と思いつつ、手を休めることなくゲーム機を触っていたけれど…。


気になってきた。
つーか、邪魔！


ということで、ぺた、と触れた、相葉さんの多分右手を、頬と右肩で挟んでやった。


「わ！なに！」


突然の俺の行動に驚いたようで、声と同時に後ろの体もびくりと跳ねた。


「なに、じゃねぇわ。
なにしてんの。気になるからやめて。」

「いいじゃん別に。ほっぺ触ってるだけなんだし。」

「気になるの！」


ゲーム画面から目を離さず言うと、目の端に相葉さんの顔が入ってくる。
じー、と無言で見つめてくるから…。


はぁ、とため息ひとつ。
データをセーブして、ゲームの電源を切った。

なに、と目で問うように相葉さんの方を向く。


「…んむ！」


向いた途端、相葉さんの右手が伸びてきて親指と人さし指で頬を潰された。


「はひふんはほ…。」


とりあえず文句言ってみるけど…言葉になんないし。

べし！と右手をはたき落としてやった。


「いってぇ！」

「アナタがわけわかんないことするからでしょうよ。
もー、なに？なんなの？さっきから！」


両手で頬をさすりながら、拗ねるように唇をとんがらせてる相葉さんをみた。


「唇とんがらせてないで言いなさいよ。」

「…廊下で。」

「うん？」

「廊下で！」


今日の相葉さんはわけがわからんない。
いやいつもミラクルな感じでわかんない人ではあるけれど。

とりあえずハテナは置いといて、こくこく頷き、話を先を促した。


「廊下で！声かけられたの。
『二宮さん、ヒゲってはえるんですね。なんか、男の人！って感じてドキッとしちゃったんですよぉ』だってさ！」


声真似なのか、ちょっとクネルように高い声で再現を入れてきた相葉さん。


「…はぁ。」


なんで応じたらいいのかわかんなくて、間抜けな声が漏れた。


「はぁ、じゃないっつーの！
ヒゲ！剃れ！ちゃんと！！」

「…や、剃ってるし…。」

「いーや！最近甘い！
放送みたりしても、なーんか感じるもん！ニノのヒゲ！」


って。
そりゃ、俺オトコだし…。

当たり前でしょ？って…。

おひげ。2→←くー！2016.4.13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す