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過去編 記憶と糸。壱 ページ13

「母上…?」


『いい?貴方は幕府に忠実に生きなさい。
それと弟の面倒も見るのよ?お兄ちゃんなんだから』


周りを囲むのは燃え上がる炎。
その炎の中には5、6歳の男の子と

瓦礫の下敷きになってしまった母親らしき人物がいた。
男の子の名は双葉遥斗、母親の名は双葉(あき)

遠くにある避難所には遥斗に似た容姿の男児が
すやすやと規則正しい寝息を立てていた。

空が目で逃げろと言うも遥斗は動かなかった。
いや、動けなかったという方が正しいのだろうか。

目の前の死に対する恐怖。
消えてしまうであろう温もり。

それらが雑じりあって足が動かなかった。


だが次の瞬間、身体がふわりと浮いた。
身体を包み込む体温。

状況を言えば誰かに小脇に担がれている状況だ。


「は、母上!…降ろせお札野郎!」


「酷い言い草やな、せっかく助けてやったのに」


降ろせと足をバタつかせるも、今の身体でその威力はほぼ皆無なのだ。
空と遥斗の距離は離れていくばかりだった。


最期に遥斗が見た母の姿は火傷を負い、涙を浮かべつつも
こちらに向かって微笑む笑顔を絶やさない母の姿だった。


炎の外から出たと同時に炎が一気に強くなり、
先程までの風景はみるみる酷くなっていった。


幼い姿の男児には、静かに涙を流しながらその光景を見るほか
何もできなかった。

過去編 記憶と糸。弐→←復帰とサボり。壱



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のゆり(プロフ) - 八重を出して頂きありがとうございます…!(感激) 更新楽しみにしてますねっ!(() (2018年3月12日 21時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
松宮カナメ - うわわわ、使って頂きありがとうございます!率なんて扱いにくいキャラでしょうに…更新頑張ってください! (2018年2月16日 16時) (レス) id: eb873f1f0d (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - あ、忘れていました!関連キーワードに「神様の依頼箱」と記入お願いします! (2018年2月6日 22時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 早速書いていただきありがとうございます!面白そうです…!募集企画の方に貼らせていただきます! (2018年2月6日 21時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朝猫。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月5日 17時

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