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「霧の守護者って……この子って、六道骸じゃ……ない？」
「騙されないでください！ そいつは骸です！ 骸が憑依してやがるんです！ 目的のためなら手段は選ばねえ！ あいつはそういう男です！！」
獄寺がツナに言う。
雲雀もまたAを後ろ手に隠し、警戒しているようだった。
「信じてもらえないのね」
「ったりめーだ！ １０代目！！ あの武器を見てください！ それに眼帯で怪しい目を隠してる！」
悲しそうな眼をするクローム髑髏をじっと見て、ツナはぽつりと言葉を綴った。
「六道骸じゃ、ないよ」
「いっ！？ そ、そうなんスか！？」
「いや、あの、なんとなくだけど……」
「庇ってくれるんだ。ありがと、ボス」
クロームがちゅ、とツナの頬にキスをした。
ツナがキスをされた頬を触りながら真っ赤な顔でわなわなと震える。
「なっ！？」
「何してんだテメー！！」
「あいさつ」
「ふざけんな！ １０代目から離れろ！」
山本が獄寺を羽交い絞めにし、Aもクロームを獄寺の方から少しだけ距離を開けて押さえられている獄寺をまあまあと宥める。
「頑張ってね」
「うん、ありがとう。風の人」
「で、どーするのだ？ 仲間に入れるのか？」
「入れるわけねえだろ！ こんなどこの馬の骨だかわかんねえような奴！」
「んあ？ てんめー聞き捨てなんねーびょん」
「来るならこいや」
一触即発の雰囲気、まとめて咬み殺そうとする雲雀をAが押さえていた。
「犬、千種、落ち着いて。あなた達が決めることじゃないよ。ボス、私霧の守護者として失格かしら。私は霧の守護者として戦いたいけど……ボスがどうしてもだめって言うなら従う……」
「ええ！？ そ、そんなの急に言われても……！ だ、大事なことだし！」
「でも霧の守護者として戦えるやつはクロームしかいねえぞ」
ツナがクロームの方を見て考え始める。
目の前の少女は黒曜の制服を纏っている。ツナや他のメンバーも黒曜にはあまりいい思い出はない。
だが、それでもツナの信頼できる山本や獄寺、Aと同じように父がクロームを選んだのだ。
「じゃあ頼むよ」
「な！ いいんですか１０代目！？」
「上手く言えないけど、彼女じゃなきゃいけないのかもって」
ツナに戦うことを許されたクロームは持っていた三叉槍をぎゅっと握り安堵の息を漏らす。
「ありがと」
話がひと段落したところで大きな鳥の羽ばたく音が体育館に近づいてくる。
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作者名：うがつ | 作成日時：2022年9月22日 23時
