if 白虎と初めの黒い龍 (ページ10)

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2・白虎と乙女×２のコイバナページ10

高校に入学してからも親交の続くエマとヒナと、菓子を持ち寄って李里の家でお泊まり女子会をしていた。
「リリィ、真ニィとはどうなの？」
「えっ、李里先輩恋人居たんですか？！」
「リリィはウチの一番上のお兄ちゃんと付き合ってるよ」
口に含んでいたクッキーの欠片が喉に思い切り刺さって、激しく噎せた。あわあわと背後で両手を動かす気配がしている。
「…それで、真一郎さんとの進展だっけ…？」
「うん。聞かせて聞かせて！いつもウチとケンちゃんの話を聞くばっかだもん！」
「李里先輩ばっかずるいです」
つい先日した、煙草の匂いのするくちづけ。そして、自分からした頚筋への独占欲の接吻。ぼわ、と噴火するように赤くなった李里に、正面に戻ってきた二人が興味津々といった眼差しを向ける。
「…その、つい先日」
期待に、二つの双眸が輝いている。その視線の追及から逃げを打つように視線を彷徨わせた。
「深い方のキスをしました」
「なんで敬語…？って、キス！？思ったより早い！」
「うわぁ、うわぁ…！」
「…私と真一郎さんのことをなんだと思ってるの」
「感情拗らせ奥手リリィと愛が重いけどヘタレな真ニィ」
ぐぅの音も出ない。確かにその通りだった。
「どうだった？」
「ほんのり苦かったけど…その…良かったよ」
思い出して恍惚としたような、寝起きのソレによく似た笑顔を浮かべる李里の顔を見つめながらエマはそっと一つ歳上の友人の額を突っついた。
「リリィはウチとケンちゃん、ヒナとタケミッチを熱々って言うけど人のこと言えないじゃん」
「そうだね。もう真一郎さんといつか結婚したいなって思ってるくらいだもん」
「ってことは、リリィがお義姉(ねえ)ちゃんになるってことだよね…」
「そうだね」
顔を見合わせて、数秒の沈黙。シャボン玉が弾けるように李里とエマは同時で吹き出した。それをヒナが和やかに眺める。
「私たち、すでにもう姉妹みたいなものだよね」
「そうだね、生理とかはリリィに全部教えてもらったし」
おねえちゃん、と甘えとほんの少しのふざけを含んだ声に、李里はとびきり甘い声を発する。
「なぁに、イモウトちゃん」
愛おしいのだと語る目が、表情がなんだか目の毒だ。なんやかんやウブな二人はほんのり頬を染めた。
「…ちゅーされるかと思った…」
「すっごいドキドキしました…」
「あはは、流石に恋人じゃないのに際どいところにはしないって」
その李里の発言に、二人は意味を飲み込んでから突っ込んでいった。