5・マリッジイエロー ページ24
白無垢とドレスどちらを着たいか問われて、悩みに悩み、友人にも相談した結果白無垢を着ることにした。和装こそ着れどヴァージンロードも歩く和洋折衷の式を選択。新婦の人生の道のりを意味すると言われるヴァージンロードを共に歩くのは父親ではなく片割れだ。何度もシミュレーションを重ね、結婚式当日。普段なら絶対しないような化粧を施され、髪を触られる。雪のように重たい純白の絹の最終調整が終わったところで戸が叩かれる。
「姉ちゃん、終わった?」
「うん、綺麗にしてもらったよ」
弟の声がして、返事をした少し後におずおず扉が開かれる。
「…」
「一虎?」
「なんか、姉ちゃんいつもと違いすぎて別人みてぇ」
「ふ、それを言うなら一虎だって。随分可愛らしくされちゃったね?」
三ツ谷を筆頭に専門学校の友人から「片割れを可愛くしといたぜ」というメッセージが入っていたので一体どんな風にされたのだと思ったが、片割れは可愛らしく簪で髪を結われて、和風の織り柄の布地を使ったカジュアルスーツを着せられている。
「よく似合ってる。片割れが可愛くて私は幸せ者だよ」
ふてたように尖らせた唇にもよく見ると紅が乗せられている。どうやら顔の綺麗な人間に化粧をしたい衝動を持つ同級生にやられたらしい。
「愉快な子達でしょ」
「騒がしいヤツらだった」
「嫌い?」
「嫌ではない」
照れてそっぽを向く弟が、しばし黙した後、ぎこちなく笑った。
「何はともあれ李里、結婚おめでとう」
「ありがとう」
化粧が崩れない程度に額をひっつけて二人でくすくす笑った。
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作者名:契 ゐと(元 いときち丸) | 作成日時:2023年11月6日 15時