if 白虎と初めの黒い龍 (ページ18)

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4・虎と友の妹ページ18

柚葉が同じクラスの李里と談笑していたところに掛けられた声。李里に、話したいことがあるから放課後に来て欲しいという言葉のそれは、告白でほぼ確定だった。
「モテモテだな」
「私、真一郎さん一筋なんだけど…」
「まぁでもアンタ、可愛くなったもん」
「真一郎さんのために自分磨き頑張ってるからかな？」
可愛いって言ってくれるから、余計に頑張っちゃう、と殊更可愛くはにかみ笑いを浮かべる友人に柚葉は思わず頭を撫でた。
「わ、何？」
「今日の件、アタシもついてく…」
「？…柚葉ちゃんが一緒に居てくれるなら嬉しいし、まぁいっか」
大切なものとそれ以外に随分対応の差がある。いつか刺されないか心配だとそれとなく伝えてみるとキョトンとした顔をされた。
「もう、一回ぶっ刺されてるよ？」
「は？誰に？」
「片割れ。やらかしそうになった時に止めたら腹にグサー！って。痛かった」
「そりゃそうだろ！」
そう言えば、彼女の片割れも暴走族の一員だったと思い出した。物騒なのは仕方ない。
「今は真面目に高校生やってるよ。三ツ谷と一緒のとこで安定してるみたい」
「安定って…」
「我が家、わりと情緒不安定なところあるからね。私もこの前真一郎さんに不安だからって絡んじゃった」
「そうなのか。で、不安は解消された？」
「うん。ヤキモチ妬いてたら、妬き返された…」
恋人の名を出しただけでぽわぽわと幸せ色のオーラを出しているのだ。きっと誰からの告白もアウトオブ眼中なのだろうと察した。
　やはり告白だった呼び出しに応じて誠実にきっぱり断った。相手もしつこく食い下がることはせずにただそれを受け入れた。
「や～、変な奴じゃなくてよかった」
「変な奴だったらどうしてた？」
「彼氏との惚気を延々聞かせる」
「うわ拷問」
「家族愛的だったところから恋に発展するまでを語ったら今まで全員咽び泣きながらどっか行ったからね」
帰り道、並び立って歩く中での会話。そこに、バイクの音が近づいてきた。
「おーい、李里！」
「…！真一郎さん！」
「隣は？」
「友達。柚葉ちゃん」
李里は恋人の体から微かに見えていた嫉妬の感情に少し驚いていた。異性のみならず同性も嫉妬の対象らしかったのだ。