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2・終・虎と白虎、戯れ合う ページ13
一虎の腹を枕代わりに仰向けに漫画を読んでいた李里は、弟が笑っている震動を頭に感じた。
「それ、面白い？」
「うん。真一郎くんが貸してくれたんだけどデカデカと赤ペンで『犯人』って書いてあんの」
「…」
「何？」
起き上がって自分の顔の骨格を少し男っぽくしたようなその顔を思わずまじまじと見つめてしまう。
「…めっちゃ真一郎さんと仲良くなってるじゃん…」
「オレ、あの人が義兄なら良いなって思ってる」
「私がキモいくらいの感情をあの人に向けてると知っての発言かな〜？んん〜？」
半笑いで、半分本気で言われたその発言に、思いがけなく照れくさくなって弟の脇腹を掴んでくすぐった。楽しくて笑うんじゃない、反射的な発声と細切れの呼気。それらにこんな近い距離感で接させてくれることがどんなに得難いことか。あの日、弟は李里を許してくれたのだ。やっぱり愛おしくて、胸を占める衝動のまま腹に顔を埋めて猫がやるように頭を擦りつけた。
「やめろ！くすぐってぇ！」
「やだ。一虎が可愛いのが悪い」
大事な片割れだ。大事な片割れが自分の大好きな人を好きになったくれた。その事実がどうも嬉しかったのもあった。
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作者名：契 ゐと（元 いときち丸） | 作成日時：2023年11月6日 15時
