【ジョジョ】いつか願ったその言葉 2

第85話：とある兄弟　1 ページ36

〈side ???〉

???「…ついに見やがったな…、見てはならねぇものをよ〜。」



背中からかけられた声に振り向く。

…グレートだぜ、しぶとくまだ起きていやがったとはよ。弟のほうと同じく、きつ〜く一発食らわせてやったはずなんだがな。



???「じ、仗助くん……！」

仗助「ああ…、タフな野郎だぜ。康一、ちゃんとオレのそばにいろよ。」



隣の同級生・広瀬康一に注意すれば、康一はこくりとひとつうなずいた。

さっきオレ達に声をかけてきた男は、この康一をスタンド能力に目覚めさせたいがために、なんと康一の喉を矢でぶっ刺しやがったんだぜ。

そこをノしてやっただけだってのに、まさか逆恨みか？




康一「うわあっ⁉あ、あの化け物…鎖になんて繋がれているぞ！」

???「…そこにいんのが、俺達の父親だぜ。」




この男の家の屋根裏部屋、そこで見つけた、このちょいとばかり気味悪ィ生き物を……奴は「父親だ」と言った。

緑色のグジュグジュした皮膚を持つ、なんつーか…こんなこと言っちゃ悪いが、醜いって感じの謎の生物だ。

さっきこいつを攻撃したら、少し叩いただけなのに、あっけなく手首を切断出来ちまった。

しかし、今はすでに再生しているぜ……。




???「これは親父に必要な物だ。親父の為にスタンド使いを見つけてやりたい……。

だからこの〈弓と矢〉は、断じて他の奴に渡したり破壊させるわけにはいかん！」




謎の〈弓と矢〉を握りしめて、その男は…億泰の兄貴はオレ達をにらみつけてくる。

億泰っつーのは、少し前に戦った、〈ザ・ハンド〉って恐ろしいスタンドを持つ野郎だ。

しかしまあ、敵ながらに、アホだが義理堅いやつだと思うぜ。




仗助「何か病気なのか？」

???「病気？違うねッ！親父は健康さ、いたってね！食欲はあるしよ〜。ただ唸り声あげてるだけで、俺が息子っつーのはわかんねーがな……。」




見りゃあわかるぜ。なんだかその「父親」が普通じゃないってことくらいはな。

男はオレとの戦いで相当ダメージを負ったのか、肩で息をして、額から血を流していた。



仗助「親父さんを治すスタンド使いを探してたっつーわけか？」

???「治す？おめーが治すってか。それも違うね。」



ゆるゆると首を横に振りながら、男は手に持つ〈弓と矢〉を握りしめる。

悲しみなのか、憤りなのかは知らないが、その血管の浮かんだ拳はブルブルと震えていた。




???「逆だ…、親父を殺してくれる(・・・・・・)スタンド使いを探してるんだよ……！」




…つりあげられたその目には、なにか光るものが浮かんでいた。

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