３ ページ19
誰かが。
どこかの通路の陰で、慌てたように気配を潜めた。
「……」
「……♠」
二人とも全くそちらを見なかったが、一瞬黙った。
「……人目のあるところでヒソカと鬼ごっこするの、やだな」
「うーん見込みがあるね♣」
「会話のフリースローやめて」
一応何でもないように会話を続けてやろうという配慮なのだが。
見込みがあるのはこちらを窺っている誰かのことだ。
「……キルアかな。青い果実候補そんなにいなかったよね」
「たぶんね♦ 彼は警戒心が強いから残念だ♥｣
「……ああ、ゴンは純真だもんね」
「うーん見てる見てる♠」
ヒソカは愉快そうに笑う。
未熟だが、念能力に目覚めてもいないのに絶並みの気配の消し方をする『誰か』にそそられてたまらないのだろう。
「イタチに用があるんじゃないかな♣ ボクはこれで退散しよう♦」
「Aだけど。よかったじゃあねバイバイ」
Aは感謝の念と共に即答した。背を向けないままじりじりと後退する。
本当に気まぐれなヒソカは、含み笑いを漏らしながら踵を返して去っていった。
「――ふー……」
「ねえ」
彼女は自然を装って振り返った。案の定いつの間にか距離を詰めたキルアが背後に立っている。
「やあ、キルア。きみは寝ないの？」
「別に」
その返事には取りつくしまもない。少年は睨むように見上げてくる。
「……あんたさ」
「うん」
「名前、何だったっけ？」
「A＝ゾルディック」
「ふーん」
「それが？」
「俺さ、キルアって言うんだよね」
「知ってるよ」
「キルア＝ゾルディックって言うわけ」
Aは息を呑んだ。
「それでさ――俺に、姉貴なんか、いないんだけど」
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海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (
レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか？纏以外使えないという条件でしたよね？間違ってたらすみません！ (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります！ (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね！あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海野 | 作成日時：2019年1月16日 13時
