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舞台上では、力尽きたAが額に手を当て考え込んでいた。
「あのさ、」
ぽつりと呟いた女の子らしい高い声が、マイクを通して会場に響く。
「夢の国のお城の前とかフラッシュモブとかでプロポーズして、あとから断られました〜みたいなのあるじゃん?」
「うん」
「今私がここで告白したとして、たぶん私の好きな人は断らないと思うの。私のこと好きじゃなくても」
はて、Aに告白されて好きにならない奴がこの世にいるのだろうか?首を捻ったが、そういえばAは自分に自信の無い性格であった。
「Aのこと好きじゃないとかあるわけ」
同じことを思ったのか、司会者が問いかけた。
「あるの。自信あったらとっくに告白してるから」
そう言いきったAに、おぉ〜、とまたもや歓声が上がる。意外と強気な所もあるんだな、と、俺は1人感心した。
観客がワクワクと期待に頬を上気させているのとは裏腹に、早く終われ、舞台を降りろ、そう念じている俺はやはり本気でAが好きらしい。
俺みたいな普通の奴とAだなんて笑えてくるが、実際既に仲良くはしている訳だし、好きであるくらいなら誰にも咎められないだろう。
「ここでOKされて後で振られるとか耐えらんないし、好きじゃないのに付き合ってもらうのもやだからやだ」
マイクを通したその声は、騒がしい会場でも凛と響き渡る。響き渡ったけれど、皆の好奇心は薄れるわけではなかった。
「じゃあヒントだけでも…!」
いや、Aの気持ち汲んでやれよ!!!
今すぐ壇上に駆け上がって思い切り突っ込んでやりたいが、ぐっと堪える。俺もちょっと気になるけど、やっぱり知りたくない気持ちが強い。
「ヒントって…」
「学年は?」
「えぇ…」
「学年だけ!ね?」
「んー、じゃあ学年だけね?…1年」
あ、やばい。
今思い出した。
お喋りだけど、やたら自分に自信が無い。あともう一つ、特徴的なAの性格がある。それは押しに弱いこと。それも死ぬほど。
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いりの。(プロフ) - 凄く素敵で好きなストーリーでした。今後の二人も気になるところです 笑 これからも応援しています。 (2020年6月23日 0時) (レス) id: 4a9fe01d6b (このIDを非表示/違反報告)
さくの(プロフ) - 白城あろさん» コメントありがとうございます!白城あろさんの作品いくつか読ませていただいてます…!いえいえ、そんな何度も読むような物では(汗)(汗) 今後もぜひよろしくお願いします! (2017年9月5日 14時) (レス) id: 916deec87a (このIDを非表示/違反報告)
白城あろ(プロフ) - コメント失礼します。本当にこの作品素敵で何回も読み返しています…!これからも応援させていただきます! (2017年9月5日 8時) (レス) id: 411fdf32c4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこしゅー。(プロフ) - さくのさん» 当たり前だ!!!さくのちゃんこそ伏見臣大好きbotに改名しよ?? (2017年9月3日 23時) (レス) id: a8d5a25739 (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - さくのさん» 読んで下さったんですか!?ありがとうございます光栄です… !花吐く蕾も拝見させて頂いていました! (2017年8月30日 12時) (レス) id: 6bbbbd55e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくの | 作者ホームページ:https://touch.pixiv.net/member.php?id=16336410
作成日時:2017年8月28日 18時