【A3!】ミスの告白【皆木綴】

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はぁ、とため息をついて目線を上げると、特設ステージに踊るのは『葉星大学 学園祭2017』と印刷されたつまらないゴシック体の旗。三好さんならもっとかっこいいロゴを作るのにな、なんて頭の片隅で思う。

このステージではつい先程、ミスコンとミスターコンが終わったところである。現在は告白大会なる催しが開催されていて、出入り自由のこのホールは在校生ばかりになっていた。

身を包むのはきらびやかな衣装ではなく、ダサいとしか言いようがない学園祭Tシャツ。某丸1日続く番組が売り出しているチャリTシャツを彷彿とさせる、派手な黄色だ。

幸ならもっとかっこいいTシャツを作るのに。無意識にまたそう思った俺は、随分とあのデザイナー達に惚れ込んでいるようだ。実際、あの2人は劇団外の人間から見ても才能の塊なのだろう。大した特技もない俺からしたら、羨ましい限りである。

…脚本？脚本は、まぁ得意なのかもしれない。皆面白いと言ってくれるが、俺的にはまだもっと良い物が作れると思っている。ここで満足してしまうと伸び代が消えてしまいそうだから、特技とするのは止めておこう。

ライトに照らされた華々しい舞台があるとはいえ、今の俺はマキューシオでもルークでも、ましてや白うさぎでもない。先輩に良いように使われているだけの、ただの学園祭実行委員であった。

俺は生まれつき…いや、違う。責任感の無い兄２人のせいで、面倒ごとを請け負ってしまいがちな性格ではあった。大してやりたくもない実行委員に名前を連ねているのも、嫌々ながらも引き受けてしまう俺の性格上、最早仕方が無い事だと思っている。




葉星大学1年、文学部、皆木綴。顔は普通。勉強も運動も普通。付いたあだ名は村人C。強いて言うなら少し背が高い。そのくらいだ。

はぁ、ともうひとつため息をついた。1年生が仕事を押し付けられがちなのはわかるが、ミスコン、ミスターコン、告白大会と3連続でスポットライトの横に立ち続けるのは辛いところがある。夏はもう終わったというのに、髪が汗で張り付いていた。

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