sweet sweet sweet 2

sweet dream＜5＞ ページ5

手越side


「おーい、手越いるかぁ？」


分厚い資料を持った部長に呼ばれる。


「悪いけど、これ今日中に目を通して
明日一緒に海外事業部との会議に出席してくれ」

「僕が、ですか？」

「あぁ。あちらさんからのご指名だ」

「指名……」

「部長補佐の増田くんだよ」

「えっ！」

「なんだ、そんなにビックリすることか？
仲いいんだろ？彼と」

「はぁ、いや、まー、そう、ですね……」

「海外事業部と仕事することは滅多にないからな。
いい勉強になるぞ」

「……はい」





部長から資料を受け取り、自分の席に戻る。
増田さんが俺を指名した……？
なんで？？








「ただいま」

「おかえり。早いじゃん」

「んー……」

「なに、どした？」

「資料に目を通さなきゃならないから
今日は定時で帰れって、部長が」

「あぁ、明日のやつね」

「なんで、俺？」


増田さんはキッチンで夕食を作りながら
ニヤッと笑う。


「なんで……ってさ」

「うん」

「一緒に仕事してみたかったから」

「なにそれ！職権濫用じゃん！」

「でも、ウチの部長も二つ返事だったし」

「へ……」

「お手並みを拝見したいってさ」

「……やめてよ」

「ごめんごめん。でも公私混同は絶対ないから。
お前が出来るヤツだから指名したんだよ？」

「ますださん…」

「てことで、明日よろしく。さっさとメシ食べな」

「うん、ありがと」



増田さんは手際よく料理を並べる。
さすがに今日はゆっくりできないか。
食べたら自分の家に帰ろ。
明日の準備しなくちゃ。



「ねぇ」

「ん？」

「帰るなら後で送ってく」

「え、なんで……」

「明日の準備したいでしょ」

「うん……」

「そんな顔してる」


なんで考えてることわかっちゃうんだろ。
本当に不思議だ。
だけど。だからこそ安心する。



「ますださん」

「なに？」

「今日は帰るけど、明日、また来てもい？」



増田さんは、目をまん丸にして固まっている。
あれ、なんか変なこと言った？
それとも、明日来られたら迷惑、とか？
いやいやいやいや。
まさか、なぁ。



「……やっぱ、ムリ」

「え……、な、にが？」

「帰すの、ムリ」

「えっ！あの、ちょいちょい！」



またしてもお姫様抱っこで寝室へ連行される。
いや、明日の準備……、と呟くと
そんなの、もういいよ。
俺が全部教えてあげるから。
と、悪魔の囁きが聞こえてきた。



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