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雨夜の月<5> ページ38

増田side


「……落ち着いた?」


食事を終えて、ホテルに帰ってきた。
親父さんから話が出るのは予想していたけれど
こいつがあんなに取り乱すとは思ってなくて
かわいそうなことをしてしまったと思う。
泣きはらした目で上目遣いに俺を見る祐也は
どことなくバツが悪そうだけど
離れたくないと言う主張は曲げない。


「……おれ、離れるの、やだよ…」

「ゆうや」

「タカは平気なの?」

「……平気だと思う?」

「思わない……っ」



聞こえないくらいの小さな声でそう言うと
また泣き出してしまった。
俺は、ただ抱きしめることしかできない。


やっと手に入れたお前を、甘やかして守って
俺だけのものにしたかった。
だけど連綿と続く“手越”の血がそれを許さない。
その才覚は、 お前すら気づかないところで世に出ることを望んでいる。
穏やかに暮らすなんて初めから無理だったんだ。
それでも、少しだけ夢を見てしまった。
ずっと手を繋いで歩いて行ける、そんな夢を。




「良くも悪くも、お前は“手越”なんだよ」

「……」

「だけど、一生離してやらない」

「たか…」

「俺のこと、信じてくれる?」




ゆうやは泣きながら頷いて
ぎゅうっと抱きついてくる。



「……絶対、迎えに行くから」

「絶対…?」

「ん、約束」

「声……聞きたくなったら、電話してもい?」

「いいよ」

「タカも電話してくれる?」

「するよ」

「ずっと……想っててくれる?」

「当たり前でしょ」

「それから……、それから…っ」



必死に俺の気持ちを確かめようとする
ゆうやがいじらしくて唇を塞ぐと
甘い吐息が漏れる。



「…半年なんて、あっと言う間だよ?
どこにいてもずっと…想ってるから」



そう。たった半年だ。
例え、お前が手越に戻っても
手を離すのは、これが最後。
今度は、もう絶対に離したりしないから。

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りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時

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