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雨夜の月<4> ページ37

手越side


「貴久くん!わざわざ悪かったね」

「いえ、お元気そうで安心しました」

「ははは!ありがとう」



父さんは、タカの肩をバンバン叩いて笑っている。
こんなに上機嫌な父さん、滅多に見ない。
側にいた母さんも祐希も吃驚している。


「紹介しよう。家内と、次男の祐希だ」


タカは、母さんと祐希を紹介されて
握手を交わしている。
俺は、その光景を不思議な気持ちで見ていた。
なんか……結婚するみたい。
そんなありもしない未来を想像する。


「祐也?」

「ん、なに?」

「どした、ボーッとして」

「ごめん、なんにもない」

「そ?なら、いいけど」


タカは優しく笑いながら、俺の頭をポンポンと
撫でてくれた。
そして皆で食事のテーブルにつく。



「貴久くん」

「はい」

「祐也の勘当を解こうと思う」

「……はい」

「ロンドンは、いつまでだ?」

「あと半年ほどで帰任します」

「どうだろう。祐也を先に帰してもらえないだろうか」

「え、なんで?!」



父さんの提案に驚いたのは俺だけ。
タカは、予想していたのか特段、驚くこともなく
話を聞いている。



「誤解しないで聞いてほしい。今更、君と祐也のことに口出しするつもりはない。ただ……このままだと、祐也は」

「……申し訳ありません」

「いや、君は祐也を精一杯守ってくれた。
親として、感謝している」

「なに言ってるの……」

「……手越でなくなることが、どういうことか
わかっただろう?」


ロンドンでの1年、俺は何もできなかった。
父さんの言う通りだ。でも、でも。
返事が出来ずにいる俺に、父さんは続ける。


「お前は手越を継ぐ為に生きてきた。それが無くなってしまえば、当然そうなる」

「……わかりました」

「タカ?!どうして!」

「それが最善の方法だからだよ」

「いや!絶対いやだ!なんでそんなこと言うんだよ!」

「祐也、落ち着きなさい」

「俺、タカと離れたくない」

「……半年だけだよ?」

「いやだ!勝手に決めんなよ……」



堪えられなくなった涙が溢れる。
人前で、こんなに泣くなんてカッコ悪いのに
どうしても納得がいかなくて、子供のように
駄々をこねる。
タカは……、離れ離れになっても平気なの?
それとも、少しでも離れたくないと思う俺がおかしいの……?

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りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時

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