雨夜の月＜2＞※ ページ35
手越side
真夜中、目が覚めてタカを起こさないように
ベッドから抜け出す。
ぼんやり夜空を見上げると、月がいつもより近い気がした。
子供の頃の思い出が詰まったこの別荘でタカと過ごす週末。
何もかも捨てて、タカとの暮らしを選んだ俺は、
ただの男になった。
今まで、どれだけ“手越”に守られていたか
どれだけ世間知らずだったか、身を以て知る。
「ゆうや？」
「……タカ」
「どした？眠れないの？」
タカが心配してテラスまできてくれた。
ごめん。
今日も起こしちゃった。
差し出された手を取って、寝室に戻ると
優しく抱きしめられる。
「たか……」
「……俺がいる。怖くないよ」
……こわい？
ああ、そうか。
俺は怖いんだ。
ただの男に成り下がった自分が。
手越の後ろ盾を失くした自分が。
その程度の覚悟でロンドンに来たわけじゃない。
なのに、この有様だ。
「ゆうや？」
心配そうに顔を覗き込むタカと目が合う。
この人の腕の中は安心するけれど
四六時中、一緒にいられるわけじゃない。
もし、俺が女だったら。
素直に甘えていられたんだろうか。
「……お願い。して…？」
この不安をどうしたらいいのかわからない。
ただ、今はこの人に愛されたかった。
普段、自分から強請ることなんてない。
タカは少し驚いているけれど
それでも唇を重ねてきてベッドに俺を横たえる。
「……っ、たか……」
身体中についたタカの印。
これ以上ないくらい優しく愛されて
やっと安心する。
だけど……こんなんじゃダメなんだ。
「……なに考えてるの？」
「え…？…あぁっ、ダメ、…だめっ」
ほんの一瞬のことを目敏く気付かれて
俺はまた昇り詰める。
「今は……、俺のことだけ考えてて？」
「ちょっ………待って……あ！」
さっきまでとは真逆な激しい愛され方で
あっという間に意識が飛びそうになる。
「気持ちよくなるとこ、ちゃんと見せてよ」
「やっ……！やめてっ、やだ、たか……っ」
気持ちいいのと恥ずかしいのとで
頭の中はぐちゃぐちゃになっている。
それでもタカは動くのをやめてくれない。
あぁ、もうマジでヤバい。
なにも考えられない。
考えたくない。
「もぉ本当に……っ！あっ！あぁぁぁ！」
「ゆうや……っ」
タカが中に欲を吐き出した瞬間、
ふっと意識が途切れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります！ (2019年5月14日 21時) (
レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です！ ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです！ (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです！本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです！更新頑張って下さい！応援しています！ (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りお | 作成日時：2019年5月13日 6時
