雨夜の月＜1＞ ページ34
増田side
「ゆうや？」
「……タカ」
「どした？眠れないの？」
ゆうやは時々、ベッドから抜け出して
テラスでぼんやり夜空を眺める。
こいつが俺の元へ来てから1年。
週末は、親父さんからもらったこの別荘で
過ごすのが日課になっている。
月の光に照らされた姿は幻想的で
抱きしめなければ消えてしまいそう。
「ごめん。起こしちゃったね」
「……おいで。部屋に戻ろ」
ゆうやは儚げに笑って、俺の手を取る。
この1年は、幸せだったけれど
決して平穏な日々ではなかった。
何もかも投げ打ってまで手に入れた生活は
想像とは程遠く、“手越”の後ろ盾の大きさを
痛感したゆうやは、俺との衝突も多くなった。
＜おれ……タカの足手まとい？＞
＜そんな訳ないでしょ＞
＜でも……＞
＜どうしてそう思うの？＞
＜ごめん……＞
何もかも失くしたとは言っても
しばらく働かなくても十二分に暮らしていける
個人資産、それに勘当と言うのも表向きで
親子関係は良好なまま。
現に、親父さんはゆうやを今でも気にかけている。
何か困ったことがあれば
それとはわからないやり方で
こいつをサポートするだろう。
親父さんだけじゃない。
俺だって、それなりに働いているから
こいつ1人を養うことくらいできる。
＜何が不安なの？＞
＜タカにはわかんないよ、きっと＞
＜なんだよ、それ……＞
手越の血が呼ぶのか。
還っておいで、と。
そう。
俺も本当は気付いているんだ。
こいつが、誰かに頼って安穏と暮らせないこと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります！ (2019年5月14日 21時) (
レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です！ ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです！ (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです！本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです！更新頑張って下さい！応援しています！ (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りお | 作成日時：2019年5月13日 6時
