Tigre et lapin<1> ページ14
増田side
「お前、いい加減にしろよ」
「へっ、なにがなにが?」
「誰と何しようが勝手だけど」
「そりゃそうでしょ、別れたんだから」
「そういうことじゃない」
「もう俺、自由だし。増田さんにとやかく言われることないよね?」
……だから、そういうことじゃない
「遊ぶのはいいけど、撮られるな。脇が甘すぎる」
「……遊ぶのはいいのかよ」
不服そうな声が返ってくる
「別れたから自由だしって言ったの、お前でしょ」
「そうだけどさ!」
「とにかく。ほどほどにしとけ」
「……わかってるよ」
わかっているのかいないのか
俺だって、“元”恋人のプライベートに
いちいち首突っ込みたくないんだけど……
「……増田さんが、悪いんじゃん」
<別れよう>
半年前
雨がしとしとと降っている夜だった
マンションにやってきた手越に、そう告げた
<俺のこと、嫌になった?>
<なってない>
<じゃあ、なんで?>
こんな話になることがわかっていたのだろうか
手越は泣くわけでもなく
喚くわけでもなく
ただ寂しそうに微笑む
<お前には……幸せになってほしいから>
<おれ、タカといる時が一番幸せだよ?>
みるみる瞳に涙が溜まっていく
泣かないで
せっかくの決心が揺らぐから
お前に泣かれると、弱いんだ
<おれの“幸せ”って、なぁに?>
<それ……は>
<ねぇ、なに?>
<お前がいつも言ってるみたいに、誰かと結婚して?いいパパになることじゃないの?>
<そっか……>
この関係がずっと続く、なんて
お前も思ってたわけじゃないだろ?
どんなに愛しても、それは歪な形で
真っ直ぐに育たない
俺の歪んだ愛情なんかより
ちゃんとした誰かを愛して、愛されて
誰からも祝福される幸せを手に入れて欲しい
そう、思ったんだ
<おれの幸せは、タカだよ?……なんでわかんないかなぁ>
綺麗な涙
綺麗な笑顔
たくさん綺麗なものを持っているお前に
俺はいつもポトンと黒いものを落とす
それがこれ以上広がらないように
もう、俺のどす黒い気持ちでお前を穢さないように
<……別れよう>
<……わかった>
俺の言葉を、手越は、静かに受け止めた
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りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時