肆話─償いと温かさ─ ページ6
大和守安定side
大和守「なっ・・・」
?「ぅ・・・」
僕は目の前の少女に剣を刺した。
・・・いや、"刺すように仕向けられた"と言った方が正しいかもしれない。
彼女の左手が動いた時に、剣の軌道を変えようとしたけど、それより速く刀を掴まれ、軌道を固定されたから。
大和守「何で・・・」
思わずそんな声が出た。
?「・・・私なりの、償い・・・です・・・」
償い?
すると、俯けていた顔を上げ、真っ直ぐ僕を見つめた。
そして、右手を持ち上げた。
動こうと思っても動けないから、思わず目を瞑った。
来た感触は、斬られたり叩かれたりするものではなく、頬にそっと手を添えられるものだった。
?「・・・ごめんなさい・・・」
突然そんな言葉をかけられ、驚いて目を開けた。
其処には、申し訳なさそうな、悲しそうな瞳で少女が僕を見ていた。
添えられた手から温かさが伝わって来る。
突然の事で何も言えずにいると、少女が言葉を紡いだ。
?「悲しかったですよね・・・?辛かったですよね・・・?私が、もう少しでも、早く来れていれば・・・・・・本当に、ごめんなさい・・・」
そう言い、涙を流した。
手の温かさは、次第に全身に伝わる。
自分から見えていた黒い霧のようなものが薄くなり、無くなる。
すると、少女がふらりと揺れた。
そのまま後ろに倒れ、踏み留まろうとしたようだけど、出来ずに座り込む。
その拍子に刀が抜ける。
よく見ると、白い服がお腹の左から赤くなっている。
大和守「ねぇ!大丈夫!?」
?「だい、じょうぶ、です・・・」
荒い呼吸を繰り返しながら答えた。
苦しそうにして傷を押さえている姿からは大丈夫に見えない。
どうしよう・・・どうすれば・・・!
僕は1人の仲間を思い出した。
大和守「待ってて!」
そう言って、僕は走り出した。
廊下を右に左に曲がり、ある部屋の前に着く。
スパンッ!
?「うわっ!?」
大和守「薬研っ!」
薬研「なっ!大和守の旦那!?闇堕ちしてたんじゃなかったのか!?」
大和守「それは後で話すから!怪我人なんだ!一緒に来て!」
薬研「りょ、了解した!」
大和守「有り難う!付いて来て!」
踵を返し、少女がいる離れに再び向かう。
薬研が付いて来ているのを気配で確認しながら。
大和守(大丈夫かな・・・もう少し待ってて!)
僕は走る速度を更に速めた。
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華狐(プロフ) - はい。読んでくださる読者様は神様なので。 (2017年10月25日 20時) (レス) id: 0a579a2e48 (このIDを非表示/違反報告)
殺戮の天使(プロフ) - 華狐さん» 私やてw鈴木順早!それとも分かってて敬語使ってる??w (2017年10月25日 20時) (レス) id: 634692efbb (このIDを非表示/違反報告)
華狐(プロフ) - 殺戮の天使様、有り難う御座います!頑張ります! (2017年10月25日 20時) (レス) id: 0a579a2e48 (このIDを非表示/違反報告)
殺戮の天使(プロフ) - キタ━(゚∀゚)━!頑張ってね!byありさ (2017年10月25日 10時) (レス) id: 634692efbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華狐 | 作成日時:2017年10月23日 23時